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日産自動車(株)【7201】の掲示板 2023/05/12〜2023/05/15

特集ー速報「なんでこんな時間に?」

日経

急速な電気自動車(EV)シフトが進む中国市場で、日系自動車メーカーの地盤沈下が止まらない。日本勢は1~3月新車販売台数を前年同期から3割以上減らしており、三菱自動車は特別損失も計上。各社は出遅れたEV対応を急ぐが、世界最大市場の中国で厳しい局面が続く。

 「中国は大変厳しい環境が続いている」

 三菱自の加藤隆雄社長兼最高経営責任者(CEO)は9日、決算会見で厳しい表情を見せた。2023年3月期連結決算は19年3月期以来4年ぶりの過去最高益を更新したものの、中国市場関連で営業外費用を121億円、特別損失を105億円計上することになったからだ。

 最大の要因は中国で22年11月に投入した多目的スポーツ車(SUV)の新型「アウトランダー」の販売不振だ。

 中国ではSUVが新車販売台数のうち4割程度を占める人気車種だが、特に成長しているのは米テスラの「モデルY」などのEVだ。エンジンを主力とする「マイルドハイブリッド車」のアウトランダーは販売計画を大幅に下回る状況が続いており、生産を担う湖南省・長沙工場も23年5月末まで停止することを決めた。

 三菱自の中国・台湾における22年度新車販売台数は前年度比41%減の4万8000台。23年度はさらに4割減るという厳しい見通しを示す。加藤社長は「撤退は現時点で決めていないが、構造改革が必要なのは明白。今後の事業展開についてパートナー(中国合弁先の広州汽車集団)と協議中だ」と危機感を強める。

中国市場で苦戦するのは三菱自だけではない。調査会社マークラインズの速報値によると、日系自動車メーカーの中国における1~3月新車販売台数は前年同期比32%減の81万台。トヨタ自動車は14.5%減、日産自動車は36.8%減、ホンダは37.7%減となった。

 理由は明確だ。中国ではEV化が急速に進んでおり、日本勢がこれまで安全性や高性能、ブランド力で勝っていたエンジン車が売れにくくなってきているのだ。中国汽車工業協会によると、中国の新車販売台数に占めるEVの割合は2割程度まで高まっており、22年EV販売台数(輸出含む)は前年比81.6%増の536万5000台。これは日本の22年新車販売台数420万台を上回る規模だ。

 中国政府が自動車メーカーへ補助金を支給しているほか、北京や上海ではEVを含む新エネルギー車の購入者がナンバープレートを取得しやすくする政策を打ち出す。またEV自体も航続距離が伸びてきており、都市部の住民や若年層を中心に新車や乗り換え購入でEVを選ぶ傾向が強まってきている。

 日本勢はEV化に出遅れて発売している車種が少なく、じわりじわりと新車販売台数シェアを落とし始めている。中国政府がガソリン車の廃止に向けたロードマップを発表した20年には23.6%を占めていたが、23年1~3月は15.9%にまで落ち込んでいる。

 シェアを奪っているのが中国の地場メーカーだ。20年の38.8%から23年1~3月は53%にまで上昇した。特に中国EV大手の比亜迪(BYD)は急成長しており、23年1~3月の新車販売台数ではこれまで首位だった独フォルクスワーゲン(VW)を抜き去った。

中国は世界最大の自動車市場だ。トヨタ、日産、ホンダは主要市場に位置づけており、それぞれ年100万~200万台規模を販売して中高価格帯の車で利益を稼いできた。中国における新車販売台数やシェアの減少は自社の屋台骨を揺るがす事態にもなりかねず、EVへの対応を急いでいる。

23年4月に開催された上海国際自動車ショーでは、日本勢も相次いで中国市場向けに開発したEVのコンセプトカーを公開した。トヨタはEV専用ブランド「bZ」で新たに2車種を24年に投入すると発表。日産やホンダもEVを複数車種投入していく方針を明らかにした。

 ただ日本勢がEVを本格投入できるのは24年以降になり、すでにBYDなどの地場メーカー、テスラやVWなどの欧米勢に中国市場の主導権を握られている可能性もある。足元ではEVの価格競争も激化している。トヨタの中嶋裕樹副社長は10日の決算会見で「(中国では)EV競争が当たり前になり、その上でどう差別化していくかの競争になっている」と指摘した。

 EV化の流れは中国以外でも加速する。日本勢は需要の読み違いを認識しつつ新型EVの投入を急ぐ。と同時に、品ぞろえで先行する中国勢や欧米勢を上回る付加価値をどう出していくのか。失地回復は容易ではなさそうだ。