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全値戻協会本部~南無全値戻心経~の掲示板

>>367

頭痛の種
  ドル高はアジア諸国にとって大きな頭痛の種だ。各国は食料の購入価格急騰や債務返済負担増大、貧困の悪化に見舞われている。

  スリランカもそうした国の一つ。ドル高で返済能力が損なわれた同国はドル建て債で初のデフォルト(債務不履行)に陥った。燃料供給確保に苦戦するベトナム当局者は、ドル上昇をその要因に挙げた。

  インドがUAEと結んだ取引はルピーでの決済を増やし、ドルを利用しない貿易決済合意の設立に向けた長期的取り組みを加速させる内容だ。

  こうした中で非金融会社によるドル建て債発行高は22年に世界全体の37%と、記録的な水準に低下した。

これらの措置はいずれも市場への影響は短期的には軽微かもしれないが、いずれドル需要低下につながる可能性がある。例えば、カナダ・ドルと人民元は全ての通貨取引に占める割合が既に少しずつ上昇している。

  テクノロジーの進歩もドルから脱却する取り組みを容易にしている。一部の国はドル高になる前から取り組んでいた新たな決済ネットワーク構築作業の結果、ドル利用を減らしつつある。マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイはドルではなく自国通貨で互いに取引する制度を整備してきた。台湾の住民は日本とリンクされたQRコードのシステムで支払いが可能だ。

  • >>368


      こうした取り組みが合わさり、半世紀余りにわたって世界金融の基盤となってきた西側諸国主導のシステムから距離を置く動きに弾みを付けている。生まれつつあるのは、依然としてドルを頂点としつつも、増えつつある二国間決済と、人民元などドルからシェアを奪いたい代替通貨という3層構造だ。

    とはいえドルの支配的地位がすぐに脅かされる可能性は低い。米経済の強さと規模に揺るぎはない。米国債は資金を保管する場として最も安全な投資先の一つだ。外貨準備に占める割合はドルが最も高い。

    だがドル離れの動きが重なることは、米国が享受する「とてつもない特権」には試練だ。これは1960年代にフランスのジスカールデスタン財務相(当時)が、ドル覇権によっていかに米国が為替リスクから守られ、同国の経済力がいかに突出するかを表現した言葉だ。

      いずれは、ドルを金融秩序の主導役に据えた戦後のブレトンウッズ体制全体が試されるかもしれない。

      ロンバー・オディエのアジア担当マクロストラテジスト、ホーミン・リー氏(香港在勤)は「数十年間利用されてきたグローバルな取引・決済プラットフォームに割れ目が生じ始めているようだ」と指摘。ブレトンウッズ体制から生まれ、人々がこれまで発展させてきたネットワーク全体が「より根本的な意味でシフトし始めているのかもしれない」と分析した。

    貴重な教訓
      最終的にドルは今後数十年間、トップの座にとどまるかもしれない。ただ、代替通貨で取引を行う勢いは衰える気配がない。地政学面の不確定要素が当局者らに自国方式採用を選択させ続けるならなおさらだ。

      米政府が地政学的な争いに自国通貨を利用する方針は皮肉にも、将来に同様の方法を効果的に遂行する能力を低下させる可能性がある。

      インドネシアのムルヤニ財務相は先月、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の機会に合わせた「ブルームバーグCEO(最高経営責任者)フォーラム」で、「ウクライナでの戦争と対ロ制裁から、非常に貴重な教訓が得られる」として、「多くの国が、自国通貨を使い直接、二国間で取引することが可能だと感じている。これは世界が通貨や決済システムの利用をはるかにバランスの取れたものにするために良いことだと思う」と述べている。