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全値戻協会本部~南無全値戻心経~の掲示板

二国間決済
  ロシアや中国では、ブロックチェーン技術の活用などを通じ国際的な決済手段として自国通貨の利用を促進する計画が、ウクライナ侵攻を機に加速した。ロシアはエネルギー代金をルーブル建てで支払うことを要求し始めた。

  バングラデシュやカザフスタン、ラオスなども人民元活用拡大に向け中国との交渉に力を入れている。インドはルピーの国際化をより声高に論じ始め、今月にはアラブ首長国連邦(UAE)と、二国間決済メカニズム実現に向け始動した。

  こうした判断に至った背景には、米欧が国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークからのロシア勢排除に動いたことがある。フランス政府高官が「金融版核兵器」と呼んだこうした動きを受け、大半のロシア主要銀行はSWIFTから離れ、規模がはるかに劣る独自ネットワークに頼らざるを得なくなった。

  結果的に二つの影響があった。一つ目は、米国の対ロシア制裁を機に、ドルがより恒久的にあからさまな政治的手段になり得ることへの懸念が中国を中心に各国で強まったことだ。インドはSWIFTと一部類似した自前の決済システム整備を進めている。

  二つ目は、地政学的紛争でどちらの側につくか選ぶことをアジア諸国に求める圧力が増したことだ。代替の決済システムを持たない国は、制裁に同意しなくてもそれに従わざるを得ず、重要なパートナーとの貿易の機会を失うというリスクにさらされる。このため、米国のロシア制裁は各国をそれぞれの道に追いやった。

  DBSグループ・リサーチ(シンガポール)のマネジングディレクター兼チーフエコノミスト、タイムル・ベイグ氏は「事態を複雑にしているのはドル資産に対する相次ぐ制裁と差し押さえだ」とし、「これを踏まえれば、ドルへの依存度低下を目指す地域の動きは驚くに当たらない」と指摘した。

ドル離れのトレンドの加速を後押ししているのは制裁だけではない。大幅なドル高もアジア各国の分散化への取り組みを積極化させた。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数に基づくと、ドルは今年7%程度上昇しており、年間で2015年以来の値上がり率となる方向だ。ドル高で英ポンドやインド・ルピーなど多くの通貨が歴史的な低水準となる中、同指数は9月に最高値を付けた。

  • >>367

    頭痛の種
      ドル高はアジア諸国にとって大きな頭痛の種だ。各国は食料の購入価格急騰や債務返済負担増大、貧困の悪化に見舞われている。

      スリランカもそうした国の一つ。ドル高で返済能力が損なわれた同国はドル建て債で初のデフォルト(債務不履行)に陥った。燃料供給確保に苦戦するベトナム当局者は、ドル上昇をその要因に挙げた。

      インドがUAEと結んだ取引はルピーでの決済を増やし、ドルを利用しない貿易決済合意の設立に向けた長期的取り組みを加速させる内容だ。

      こうした中で非金融会社によるドル建て債発行高は22年に世界全体の37%と、記録的な水準に低下した。

    これらの措置はいずれも市場への影響は短期的には軽微かもしれないが、いずれドル需要低下につながる可能性がある。例えば、カナダ・ドルと人民元は全ての通貨取引に占める割合が既に少しずつ上昇している。

      テクノロジーの進歩もドルから脱却する取り組みを容易にしている。一部の国はドル高になる前から取り組んでいた新たな決済ネットワーク構築作業の結果、ドル利用を減らしつつある。マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイはドルではなく自国通貨で互いに取引する制度を整備してきた。台湾の住民は日本とリンクされたQRコードのシステムで支払いが可能だ。