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全値戻協会本部~南無全値戻心経~の掲示板

>>368


  こうした取り組みが合わさり、半世紀余りにわたって世界金融の基盤となってきた西側諸国主導のシステムから距離を置く動きに弾みを付けている。生まれつつあるのは、依然としてドルを頂点としつつも、増えつつある二国間決済と、人民元などドルからシェアを奪いたい代替通貨という3層構造だ。

とはいえドルの支配的地位がすぐに脅かされる可能性は低い。米経済の強さと規模に揺るぎはない。米国債は資金を保管する場として最も安全な投資先の一つだ。外貨準備に占める割合はドルが最も高い。

だがドル離れの動きが重なることは、米国が享受する「とてつもない特権」には試練だ。これは1960年代にフランスのジスカールデスタン財務相(当時)が、ドル覇権によっていかに米国が為替リスクから守られ、同国の経済力がいかに突出するかを表現した言葉だ。

  いずれは、ドルを金融秩序の主導役に据えた戦後のブレトンウッズ体制全体が試されるかもしれない。

  ロンバー・オディエのアジア担当マクロストラテジスト、ホーミン・リー氏(香港在勤)は「数十年間利用されてきたグローバルな取引・決済プラットフォームに割れ目が生じ始めているようだ」と指摘。ブレトンウッズ体制から生まれ、人々がこれまで発展させてきたネットワーク全体が「より根本的な意味でシフトし始めているのかもしれない」と分析した。

貴重な教訓
  最終的にドルは今後数十年間、トップの座にとどまるかもしれない。ただ、代替通貨で取引を行う勢いは衰える気配がない。地政学面の不確定要素が当局者らに自国方式採用を選択させ続けるならなおさらだ。

  米政府が地政学的な争いに自国通貨を利用する方針は皮肉にも、将来に同様の方法を効果的に遂行する能力を低下させる可能性がある。

  インドネシアのムルヤニ財務相は先月、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の機会に合わせた「ブルームバーグCEO(最高経営責任者)フォーラム」で、「ウクライナでの戦争と対ロ制裁から、非常に貴重な教訓が得られる」として、「多くの国が、自国通貨を使い直接、二国間で取引することが可能だと感じている。これは世界が通貨や決済システムの利用をはるかにバランスの取れたものにするために良いことだと思う」と述べている。