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ワクチン開発で省庁横断の新組織、22年度設置へ 
新型コロナで出遅れ教訓に
#新型コロナ #経済
2021/10/9 21:04 [有料会員限定]

現在国内で使用している3ワクチンはいずれも海外企業が開発している=ロイター
政府は感染症予防のワクチン開発を推進する省庁横断の組織を2022年度に新設する。平時から製薬企業の研究や感染症の発生動向を調査し、有事にはワクチン開発できる企業を即座に選定して支援して、短期でワクチンが国内供給できるようにする。新型コロナウイルスのワクチン接種が海外に遅れた反省を踏まえ、次の感染症に備えて足場を固める。狙い通り省庁の縦割りを打破できるかが課題となる。

日本は新型コロナワクチンの接種で欧米に後れを取った。国産ワクチンのある米国は20年12月に接種を開始した一方、輸入に頼った日本は21年2月だった。現在使用しているファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ製はすべて海外企業のワクチンだ。

国産ワクチンは塩野義製薬や第一三共などが開発に取り組んでいるが、最終の臨床試験(治験)にも入れていない状況だ。省庁の縦割りで効率的な開発支援につながりにくい課題がある。

このため、新組織「先進的研究開発戦略センター(仮称)」は日本医療研究開発機構(AMED)内に置き、内閣府と厚生労働省、経済産業省、文部科学省が横断的に所管する体制とする。

職員は製薬企業出身者や感染症研究者、役所からの出向者など様々な立場から登用する。国立感染症研究所などとも連携し、代表者がセンター内の役職に就く。縦割りを打破し、短期でのワクチン開発を実現できるかが試される。

感染症の急拡大への早急な対応には、平時の活動が重要だ。製薬大手や創薬関連スタートアップなど企業の動向を収集する。感染爆発には至っていなくても、厚労省の指定感染症に関する研究開発支援を重点的に行う。


政府はAMEDを通じた新型コロナのワクチンの開発支援として20年度に600億円以上を投じている。だが、ワクチン開発は海外に大きく後れを取った。

新センターでは「戦略性を持ったファンディング」を念頭に、開発を強化すべき分野を平時から選定する。効率的・重点的に政府予算を充てて支援する。

感染研を通じて米疾病対策センター(CDC)にアクセスするなど、海外情報も収集する。コロナのように海外発の感染症や開発ワクチンの情報をいち早くつかむ。

集めるのはワクチン情報にとどまらない。新型コロナでは「メッセンジャーRNA(mRNA)」を用いたワクチンが米ファイザーや米モデルナから出されたが、もともとはがんの治療薬などとして開発されていたものだった。

「ワクチンだけを見ていると視野が狭くなる」(内閣府)といい、将来的な可能性を見据えて幅広く収集する。