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>>74

最終的には、米国の格付け引き下げに端を発した米国債の暴落や、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険プログラム)や社会保障信託基金の枯渇を巡るパニックなど、危機的な事態が発生しなければ行動を起こすことはできないだろう。両党とも今は火遊びをしているに過ぎない。

  昨年の夏は、危機がどのように始まるかを小規模ながら予見できた。フィッチ・レーティングスの米国格下げと長期米国債の発行増によって、23年8月の2日間にわたり投資家の関心がリスクに集中した。指標となる10年物国債利回りは1ポイント上昇し、同年10月に5%に達した。

  事態がどのような結末を迎えるか知りたいのであれば、22年秋の英国を見ればいい。トラス首相(当時)が打ち出した財源の裏付けのない減税案によって英国債は暴落。

  利回りはあっという間に急騰し、イングランド銀行(中央銀行)が金融危機のリスクを回避するために介入せざるを得なくなった。債券自警団の行動により、政府は計画を中止せざるを得なくなり、トラス首相は退陣した。

  米国については、ドルが国際金融の中心的役割を果たす基軸通貨であるため、同じようなメルトダウンの可能性は低い。究極の安全資産としての米国債に対する投資家の信頼を揺るがすには、相当なことが必要だろう。

  しかし、仮に米国債の信認が失墜した場合、米国は安価な資金調達手段を失うだけでなく、世界的なパワーと威信を失うことになり、ドルの転落は重要な転換点となるだろう。