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米政府債務は持続不可能-100万通りのシミュレーションで結論は一つ
Bhargavi Sakthivel、Maeva Cousin、David W Wilcox
Bloomberg
2024年4月3日 12:11 JST

米議会予算局(CBO)は最新の予測で、米連邦政府の債務が対国内総生産(GDP)比で昨年の97%から、2034年には116%へと上昇し、第2次世界大戦時よりも高くなると警告した。実際の見通しはもっと悪そうだ。

  税収から国防支出、金利に至るまで、今年発表されたCBOの予測はバラ色の仮定に支えられている。金利に関する市場の現在の見方を織り込むと、債務残高の対GDP比は34年に123%まで上昇する。

  そして、トランプ前大統領の減税が主にそのまま継続されると仮定すると、負担はさらに重くなる。

  多くの変数が不確実であるため、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は債務見通しの脆弱(ぜいじゃく)性を評価するために100万通りのシミュレーションを行った。その結果、88%のシナリオで債務残高の対GDP比が持続不可能な軌道にあることが分かった。

  バイデン政権は企業や富裕層への増税を盛り込んだ予算で、財政の持続可能性と管理可能な国債費の水準を確保するとしている。

  イエレン米財務長官は2月、「財政赤字を減らし、財政的に持続可能な道を歩む必要があると考えている」と連邦議会で語った。バイデン政権の提案は、「利払い費を快適な水準に維持するための大幅な財政赤字削減を提案している。しかし、このような削減を達成するためには、われわれは協力する必要がある」とイエレン長官は訴えた。

  このような計画が実現するためには、党派で激しく意見が分かれる議会が、行動を起こす必要がある。

  下院の主導権を握る共和党は、膨れ上がった財政赤字を削減するために大幅な歳出削減を望んでいる。

  上院を掌握する民主党は、支出は債務の持続可能性を悪化させる要因として大きくはなく、金利と税収が重要な要因だと主張する。両党とも、主要な給付金制度の給付削減には賛成していない。

  • >>74

    最終的には、米国の格付け引き下げに端を発した米国債の暴落や、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険プログラム)や社会保障信託基金の枯渇を巡るパニックなど、危機的な事態が発生しなければ行動を起こすことはできないだろう。両党とも今は火遊びをしているに過ぎない。

      昨年の夏は、危機がどのように始まるかを小規模ながら予見できた。フィッチ・レーティングスの米国格下げと長期米国債の発行増によって、23年8月の2日間にわたり投資家の関心がリスクに集中した。指標となる10年物国債利回りは1ポイント上昇し、同年10月に5%に達した。

      事態がどのような結末を迎えるか知りたいのであれば、22年秋の英国を見ればいい。トラス首相(当時)が打ち出した財源の裏付けのない減税案によって英国債は暴落。

      利回りはあっという間に急騰し、イングランド銀行(中央銀行)が金融危機のリスクを回避するために介入せざるを得なくなった。債券自警団の行動により、政府は計画を中止せざるを得なくなり、トラス首相は退陣した。

      米国については、ドルが国際金融の中心的役割を果たす基軸通貨であるため、同じようなメルトダウンの可能性は低い。究極の安全資産としての米国債に対する投資家の信頼を揺るがすには、相当なことが必要だろう。

      しかし、仮に米国債の信認が失墜した場合、米国は安価な資金調達手段を失うだけでなく、世界的なパワーと威信を失うことになり、ドルの転落は重要な転換点となるだろう。