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安田倉庫(株)【9324】の掲示板 2015/04/29〜2020/02/26


次はデフレかインフレか 新型コロナが照らすひずみ
編集委員 藤田和明
新型コロナ 藤田 和明 編集委員
2020/2/25 18:09
1484文字
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世界で株安の連鎖が広がる。新型肺炎はアジアの局所ではなく世界経済の問題となり、局面は明らかに変わった。世界経済の先をみるとき、2つの波が考えうる。需要の冷え込みからくるデフレ圧力と、供給網の分断からくるインフレの芽。このぶつかり方次第で経済政策も企業収益も左右する。同時にいまの経済のひずみも照らすことになる。
コンテナ海運最大手のA・P・モラー・マースク(デンマーク)が20日に催した決算発表。スコウ最高経営責任者の説明が前週までの市場のムードを代表していた。「中国の輸出は2月は非常に弱く、3月も相当に弱い。ただ4、5、6月はV字回復に向かうと期待している」
同社は世界のモノの流れがわかる企業の1つだ。新型肺炎の影響で50件以上の運航を休止した。一方で供給網が途切れたことで、世界的に完成品や中間製品の在庫が枯渇しつつあるという。感染がヤマを越えれば物流は急速に戻るとみる。
ただし、とスコウ氏はこのシナリオも不確実だと言い添えた。「中国以外の国での新たな感染拡大がないことが前提になる」
その懸念が現実になってしまった。イタリアや中東でも感染者がみつかると欧州や米国の株価が急落、25日に日経平均株価が一時1000円超下げた。世界の株式市場に動揺が走ったのは、新型肺炎が世界経済の問題になったからだ。
英調査会社オックスフォード・エコノミクスは、アジア以外で感染拡大が深刻になった場合の下振れシナリオとして、2020年の世界の国内総生産(GDP)の成長率を1.3%押し下げ、金額で1.1兆ドルを失うと試算する。消費や旅行が落ち、金融市場にも波及してしまうシナリオだ。
すでに銅や原油相場が下落し、国際商品には警戒感が出ている。需要の減少に伴うデフレの圧力となる。
一方で、スコウ氏のいう「枯渇」という言葉も気にかかる。供給網の混乱が長期に解消しなければ、中国に依存する製品が供給面でネックになり、足りなくなる可能性だ。「局所的なインフレはおこりうる」(平山賢一・東京海上アセットマネジメント執行役員)