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アイティメディア(株)【2148】の掲示板 2024/02/08〜

>>805

──資本コスト最適化の一環で配当予想を大幅に引き上げました。

 営業利益の達成時期を先送りしているだけでは株価は下がる。今回の施策を発表する前の時点で、すでに株価は20年のピーク時終値から7割減。このままだと流通時価総額は、プライム市場が定める基準を割るリスクもあった。

 そこで株主還元強化のため、今期の年間配当金予想を30円から115円に引き上げた。来期の年間配当金は100円とし、再来期以降も29年3月期までの3カ年の間、連結配当性向は70%以上を目標とすることを掲げた。

 今来期は1株当たりの純利益が配当を上回る持ち出しとなるが、直近3カ年で築いた十分な自己資本がある。9割近い自己資本比率があることはかつて自慢できたものの、東京証券取引所が進める市場改革の中でそうは言っていられなくなってきた。資本効率をより高めるために、M&A(合併・買収)も積極的に実施したい。

ソフトバンクの意向ない

 ──株主還元の強化は、親会社ソフトバンクグループ(SBG)の意向もあるのでしょうか?

 まったくない。この件で一度も相談したことはないし、むしろ彼らは驚いているかもしれない。

 ソフトバンクから分社する形で会社を設立して以降、われわれはこれまで一貫して自主自立で経営を行ってきた。株主還元策は、アイティメディアの取締役会として真剣に議論して決めたことだ。SBGから派遣された取締役が言い出したという事実もない。

 ──市場の反応はどうでしたか。

 株価はピーク比3割減の2000円近辺まで持ち直した(3月26日時点)。株価として結果が出なくても、投資家は配当利回り(1株当たり予想配当金÷株価)の高さに注目してくれるはずだ。1月の新NISA(少額投資非課税制度)開始で、個人投資家も増えるとみていた。配当利回りの上位ランキングに入ることで知名度が上がり、期待値である株価の上昇にもつながっていくと思う。

  • >>806

     ──配当金の支払いを上回るキャッシュをどう稼いでいきますか?

     年間のキャッシュフローを考えた際、今稼いでいる利益水準でも支払配当金を賄うことができる。連続減益になったり赤字になったりしない限り、中長期で連結配当性向70%以上にコミットしても財務的には問題はない。

     ただバランスシートの観点からすると、それでもキャッシュポジションは高すぎる。先ほど触れたM&Aや事業領域の拡大に向け、成長投資を積極的に行っていく。

     すでに進めているのは、産業領域のメディア拡大だ。ITに加えDX(デジタルトランスフォーメーション)の対応を必要とする製造業や金融、製薬、食品領域などで各専門メディアと協業し、互いにリードジェンやデジタルイベントの収益機会を広げている。

     同じような取り組みは、日本経済新聞社も行っている。ただ彼らは純血主義のため、自前の範囲でしかやらない。当社はパートナーシップ戦略で協業先のDXを支援していく。例えば化学工業界の中心的メディアである化学工業日報とのデジタルイベント共催では、非常にいい成果が生まれている。

     ──25年近く社長を続けています。バトンタッチの考えは?

     もちろん考えている。後輩たちに未来をつくっていくため今回手を打った。営業利益40億円を目指す30年3月期の時点まで社長をやることはさすがにない。次世代の人たちが活躍するのがベストだ。

    (二階堂 遼馬)


    (株)東洋経済新報社