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HPCシステムズ(株)【6597】の掲示板 2024/01/19〜

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ich***** 強く買いたい 4月22日 13:35

2024/4/22 05:00

化学反応の自動探索で挑む

生成人工知能(AI)の普及と相まって、科学技術計算などの高性能コンピューティング(HPC)の需要が高まっている。日本勢はこの領域でどう戦えばよいのか。HPC技術と化学の知見を駆使した高度なソリューションを、学術から産業界まで幅広く提供するHPCシステムズの小野鉄平社長に今後の展開を聞いた。


―生成AIブームに伴って、画像処理半導体(GPU)の供給が逼迫(ひっぱく)しています。ビジネスへの影響は。

「当社がGPUを扱い始めたのは2006年ころ。当時は画像処理だけだったが、16―17年ごろにカナダのトロント大学や米グーグルが機械学習の新たな研究成果を論文発表し、学習に用いるGPUの需要が徐々に増えた。さらに米オープンAIの『チャットGPT』が火付け役となり、市場は一変し、ビジネスも盛況だ」

―科学技術計算でのGPUの引き合いは。

「当社が得意とする量子化学のシミュレーションは中央演算処理装置(CPU)でなければ計算できない領域もあるが、創薬や新素材の探索などで扱うデータ量が増え、GPUの需要は伸びている。生成AI開発や大規模言語モデル(LLM)向けの引き合いも多い。コロナ禍で半導体全般の供給が逼迫したが、当社は米エヌビディアから最高位のパートナーの認定も受けており、GPUの調達などでは強みとなる」

―成長戦略で掲げる海外展開について教えて下さい。

「日本のモノづくりや科学技術に貢献しながら、世界にも貢献するのが我々のビジョンだ。ただ、AIや量子などの先端領域への投資額をみると、海外市場がケタ違いに大きく、そこに挑戦したい」

―具体策は。

「当社は北海道大学の研究グループが開発した化学反応経路の自動探索法をソフトウエア化し、ライセンス契約に基づき『GRRM』として販売している。国内を主体に事例を積み上げてきたが、これを携え、欧米など海外に打って出る。科学技術計算のソフトウエアは現状、海外製品に席巻されているが、GRRMならば世界標準をとれる。この分野でそれが成功すれば和製のソフトウエアでは初めてと言える」

【記者の目/野心的試みで成長軌道に】

HPCシステムズは物理、化学、薬学、AI、量子科学などの専門家を抱える技術集団。HPCや化学計算、AIなどを小回りを効かせて、自在に操るベンダーは世界的にも珍しいが、黒子的な役割が多く、知る人ぞ知る存在だ。一方で、和製ソフトを武器に世界標準を目指す試みは野心的であり、世界を舞台に成長戦略をどう軌道に乗せるかが注目される。(編集委員・斉藤実)