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【AUD】豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表の掲示板

第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・西濵 徹氏

豪中銀、テーパリングに動く一方で資産買い入れ期間は3ヶ月延長
資産買い入れ規模は予定通り縮小も、景気及び感染動向の不透明感を受けて緩和政策は延長へ

 昨年後半以降の豪州経済は、世界経済の回復が外需を押し上げ、国内の感染動向が落ち着くとともに政策支援も相俟って内需も活発化するなど景気は着実に底入れしてきた。しかし、変異株の流入を受けて行動制限が再強化されたほか、7月以降は感染が急拡大するなど状況は一変している。行動制限の長期化を受けて若年層を中心に政権支持率は急落する事態となっている。他方、当初は調達の遅れが懸念されたワクチン接種は足下で進むなか、政府は「ウィズ・コロナ」への戦略転換を模索する動きをみせている。

 足下の感染動向は悪化する一方、中銀による緩和姿勢を受けた「カネ余り」を追い風に不動産市場ではバブルが懸念される動きがみられる。中銀は先月の定例会合で今月以降に事実上の量的緩和縮小に動く姿勢を維持したが、感染悪化による景気への影響如何では量的緩和縮小の先送りに含みを持たせる考えをみせた。こうしたなか、中銀は7日の定例会合では量的緩和の縮小に動く一方、量的緩和の期限を3ヶ月延長する決定を行った。先行きは景気動向や感染動向に応じて資産買い入れ規模を見直すとする一方、政策金利は2024年まで維持する方針を改めて強調した。金融市場では期待先行で豪ドル相場が底入れしたが、先行きについては感染動向やワクチン接種の行方に左右される展開が続くと予想される。