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(株)商船三井【9104】の掲示板 2020/08/12〜2020/08/14

油流出 サンゴ損害深刻 モーリシャス沖、環境回復に数十年か
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貨物船からサンゴ礁に流出した重油(9日、モーリシャス沖)=AFP時事
貨物船からサンゴ礁に流出した重油(9日、モーリシャス沖)=AFP時事

アフリカ大陸南東のインド洋に浮かぶ島国モーリシャス沖で、商船三井が手配した大型貨物船が座礁し、燃料油が流出して1週間余り。現地では燃油回収が続く。観光を主力産業とする地元経済は大きな打撃を受け、世界屈指のサンゴ礁の損害も深刻だ。現地政府は賠償を請求する意向だが、環境回復には数十年かかるとの見方がある。

日本の国際緊急援助隊・専門家チームの事務局を務める国際協力機構(JICA)は14日、流出した油が沿岸の自然公園に流れ着いていることを確認した。油は座礁した地点から10キロまで流れているという。

座礁したばら積み船「WAKASHIO(わかしお)」の船主の長鋪汽船は13日、油の流れを調整するオイルフェンスを追加で設置する方針を明らかにした。

12日までに船に残っていた油約3000トンの回収を終え、貨物船が真っ二つに割れさらに大量の燃油が流出する懸念は遠のいた。しかし、破損したタンクから既に流れ出た油は約1180トン。回収できたのは約500トンで多くが浜辺やサンゴ礁に漂着する。

世界旅行ツーリズム協議会によると、モーリシャスは国内総生産(GDP)と雇用の19%を観光関連に依存する。人口が130万人に対し、2019年は欧州や中国などから140万人の観光客が訪れた。観光頼みの経済なだけに新型コロナウイルス感染拡大の影響も大きい。燃油流出がさらに追い打ちをかける。

船が座礁した地域は世界的に有名なサンゴ礁で、サンゴの生態に詳しい琉球大学の久保田康裕教授は「モーリシャス周辺はイシサンゴの40%以上の種が分布する世界トップレベルの保全重要地域だ」と話す。

専門家によると、サンゴの表面に油が付着すると呼吸できなくなる場合があるという。油を分解する油処理剤を使用するケースが多いが「処理剤には界面活性剤が含まれ、デリケートなサンゴの細胞は直接分解される懸念がある」(九州大学の菅浩伸・主幹教授)。ロイター通信は「影響は数十年単位に及ぶ恐れがある」とする環境工学専門家の話を伝える。