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日本郵船(株)【9101】の掲示板 〜2015/04/28

◇既存船改造、CO2を2割減 日本郵船のコンテナ船
 日本郵船は既存のコンテナ船を省エネルギー仕様に改造する。船首の喫水線の下にある
「バルバスバウ」と呼ぶ球状突起物の形状を改良するなどして、燃費効率を高める。二酸
化炭素(CO2)排出量を2割減らした実証実験をもとに、効率的な改造方法を割り出す
情報システムも開発した。2015年度に10隻程度の改造を検討している。
 コンテナ船は08年のリーマン・ショック以前は輸送スピードを競っていたが、現在は燃
費効率を重視した「減速航海」が主流となっている。その結果、リーマン以前に設計され
た船は全速での燃費効率に合わせているため、減速航海しても燃費が向上しにくいという
課題があった。
 改造の柱は船首にあるバルバスバウの形の変更だ。喫水線の下に設けられ、船が進む際
に波を起こして抵抗を抑える。ただ、設計時の想定より貨物の重量が軽いと水面に一部が
露出し、かえって抵抗が大きくなる。このため、喫水線の下に収まるようにバルバスバウ
を小さくし、形も変える。
 また、プロペラの根元に何枚かの小さな翼を取り付け、旋回流のエネルギー損失を減ら
す省エネ装置を設置したり、エンジンからターボチャージャー(過給器)を取り外したり
するなどの改造メニューを用意した。
 14年に実証実験として、長辺が20フィート(約6メートル)のコンテナを3千個積める中型コン
テナ船を改造し、半年間の航海データを分析した。
 改造前、フルスピードの22ノット(時速約40キロメートル)では1トンの荷物を1キロメートル運ぶ際の
CO2排出量は18.5グラム、減速航海時の18ノット(時速約33キロメートル)では13.9グラムだった。改
造後の排出量は10.7グラムと、改造前の減速航海時と比べて23%減少した。
 実証実験での改造前と後のデータの比較をもとに、改造メニューの効果を算定し、効率
的な改造方法を割り出す情報システムも開発した。船のスペックと航海データを入力する
と優先度の高い改造メニューを割り出し、その効果を試算できる。
 日本郵船はこのシステムをもとに、設計時の想定と現在の使われ方が異なり、燃費効率
が悪い船を改造していく。15年度中に10隻の改造を目指す。1隻の改造費用は数億円で、
燃料費の節約で2~3年で投資を回収できるという。(剣持泰宏)