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シャープ(株)【6753】の掲示板 2024/03/23〜2024/05/01

シャープは3月21日、国立大学法人静岡大学 農学部の一家崇志 准教授と山下寛人 助教との共同研究により、プラズマクラスター技術が植物の初期生育促進に寄与することを確認したと発表した。

イネの種をまいた直後からプラズマクラスターイオンを直接照射したところ、エネルギー生成を指示する働きが最大約3倍に増加し、その結果、芽の長さが最大約4倍まで伸長することが分かった

 シャープは2016年にプラズマクラスター技術がレタスの生育を促進することを実証したが、今回の実証ではその効果の背景となる生育促進メカニズムを確認するため、全遺伝情報が判明しているイネを用いた研究を実施した。

 その結果、種をまいた直後からプラズマクラスターイオンを直接照射した場合、送風のみの場合と比較してエネルギー生成を指示する働きが最大約3倍に増加し、その結果、芽の長さが最大約4倍まで伸長することが分かった。

「プラズマクラスター技術は今回ご紹介した初期以降の生育過程においても効果が期待できると考えている。エネルギーを作り出していく工程は、初期以降でも当然植物が大きくなる中で存在しているので、今回のスタートダッシュ効果以外の効果も今後期待されると考えている」(岡嶋氏)

 今回検証を行ったプラズマクラスターイオン発生器は業務用として既に販売されているもので、メーカー希望小売価格は親機が1台3万6000円(税抜き)、子機が1台1万6000円とのことだ。親機1台に子機を最大7台まで接続し、合計8台まで連結して使うことが可能だ。

「日本国内では植物工場が420社ほどあると言われいる。商品として提案できるものはすでにあるので、そのうちの約10%の40社ぐらいをターゲットとして提案していきたい」(岡嶋氏)

 プラズマクラスターイオンはOHラジカルの酸化力による「除菌・消臭」効果をうたっており、実際に栽培容器の水耕液で細菌の増殖が抑制されていることも確認されていた。質疑応答では、微生物の増殖を抑える効果のあるプラズマクラスターイオンが、なぜ植物の生育を促進できるのかという質問が出た。

岡嶋氏は「今回はまず植物の中で起こっていることを確認をしたのであり、その先はこれからの検証になる」と話し、次のように語った。

 「イネなどは触ると生育が良くなるなど、ある程度の刺激が植物を大きくさせていく効果があると言われている。(プラズマクラスターイオンは)プラスとマイナスのイオンを出しているが、風のみと比較するとイオンが当たることが何かしらの物理的な刺激になっていると今は考えている。今回は起こっていることが分かったので、今後はさらに踏み込んで確認していきたい」(岡嶋氏)

 一家准教授はプラズマクラスターイオンの植物への応用について次のように期待していると語った。

 「最近の食糧危機問題や地球環境を踏まえると、食料の安定供給は絶対的な課題になる。農地やエネルギーの問題などの諸問題を解決できる手法として植物工場での安定的な食料供給は全世界が課題としてると思う。植物工場の中でプラズマクラスターイオンの照射をさまざまな植物種で試し、初期生育が非常に高くなることをつかんだ。生育が良くなるだけでなく、機能性成分も良くなるため、高付加価値化にもこの技術が貢献する。生育が良くなるのは栽培時のエネルギーコストが低くなるため、生育時のCO2削減にも貢献できる。植物工場の栄養条件や栽培環境、衛生環境を考えると、水耕液の状態をコントロールしたり、病気の発生を抑えられることを考えると、悪いところが一つも見つからない。この技術は今後大いに発展していくだろうと期待している」(一家准教授)

 一つだけデメリットを挙げるとすると、「濃度が濃すぎると良くない」と一家准教授は語った。

 「強すぎる刺激は植物の生育を阻害するため、最適な濃度域をある程度決める必要があるだろう。多分、植物種によって違うので、この植物ならこのくらいというデータを積み重ねていくことが今後必要になってくると思う」(一家准教授)

(C-NET JAPAN)