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NEC【6701】の掲示板 〜2015/04/27

コラボレーション(協働)への関心が高まっている。コラボレーションは単なる分業や協業ではなく、各構成員が個性や自律性を発揮して、その相互作業がもたらす創造性を意図的に発現させようとする共同作業のことである。最近、企業が異業種とのコラボレーションによって新たな価値の創出を図る動きが活発になってきた。

 トヨタ自動車は、カーナビ向けアプリ開発環境を外部企業に公開する戦略を採用したほか、マイクロソフトなどIT(情報技術)企業との連携を深めている。積水ハウスは東芝とホンダと連携し、次世代環境住宅の実証ハウスをさいたま市に建設した。さらに積水ハウスはロボットや医療用機器などを得意とするベンチャー企業のマッスルと連携し、住宅内でロボットを活用する研究開発にも着手した。

 異業種とのコラボレーションが注目される理由は、イノベーションを起こすには、自分の専門外の分野(これまで見ていなかった世界)にも目を配ることが重要だからである。経済学者シュンペーターが指摘したように、馬車を何台つなげても鉄道にはならない。鉄道は、馬車と蒸気機関という既存の技術を組み合わせることで生み出された。

 人は全く新しいものに出合ったとき、既に知っている類似のものとの対比だけで思考してしまう傾向がある。電話は登場当初、「話す電報」と呼ばれていた。自動車は「馬なしの馬車」、携帯電話は「持ち運び可能なコードなし電話」の位置づけだった。それらが後に多様な用途で進化を遂げて社会を変えていく姿を想像できた者はいなかった。

 新技術の秘めたる可能性や既存の役割を超えた上位概念にいち早く気づき、未来を先取りした製品や事業モデルを構想するうえで、異業種とのコラボレーションは重要な手法といえるだろう。


7/23付 日経より