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(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】の掲示板 2021/06/23〜2021/08/30

【東京五輪】 なるべく見えないよう…… 都心から排除されるホームレスの人々

BBC 2021年7月31日放送
取材・編集: ソフィア・ベティッツァ

東京オリンピックの最中、都心で暮らすホームレスの人々は、世間の目に触れないよう圧力をかけられている。東京大会が決まった2013年以降、当局はホームレスの人々を厳しく取り締まってきた。

東京五輪が始まりました。けれどもこの光景は目に入りません。都心に暮らす何百人ものホームレスの人々が、人目につかないところに強制的に移動させられているのです。

「根本的にはやっぱりいなくなってほしいと」(小川てつオさん、ホームレス男性)。都心からホームレスの人たちが排除されています。「不公平で非人道的です」(木村正人さん、社会学者)。なるべく人目につかない場所に移動させられました。「いらんよ。オリンピックなんか」(山田修さん、64歳のホームレス男性)。東京での五輪開催が2013年に決まって以来、当局はホームレスの人々を厳しく取り締まってきました。公園で寝ないよう公園は夜間に封鎖され、夜間照明がつくようになりました。駅や五輪会場周辺のテントは撤去されました。

「ここは組織委員会が特に日本の素晴らしさを海外メディアにアピールしたい場所です。大会が進行している今日、近くにホームレスの人たちの姿はありません」(ソフィア・ベティッツァ、BBC記者)。
「国立競技場が大きくなる時、追い出しを受けた人はみんな知り合いですが、その日のうちから寝る場所とかどうするのかって話になって」(小川てつオさん)。小川さんは20年近くホームレスとして暮らしています。五輪が理由で仲間が受けた扱いを強く嫌悪しています。「みんなで協力してテントを持ってきたりとか色々して、寝る場所を作りましたけど、強制排除というのは荷物も全部持って行かれちゃうんですね。そういったような非常に強いストレスを」(小川てつオさん)。

64歳の山田さんもその1人です。山田さんの後ろには新国立競技場が見えます。ある日、立ち退きの警告が持ち物のあちこちに貼られていました。「困ったもんだよ」(山田修さん)。この人たちは山田さんを助けようとしています。「でも、生活があるの。別にいいと思ってるの?それは?」(支援者の女性)。「わたくしたちの方としてはここにフェンスを張らせていただくことで、その期間はもうここに人が入れなくなるということで」(行政関係者)。

「オリンピックなんて来なくていいよ」(山田修さん)。山田さんはこれまでに3回立ち退きさせられました。「野宿の人が住んでるたとえばこういうテントとか、やっぱりその人の家なんですね。そこにあった自分の財産を、荷物ごと撤去しなきゃいけない、あるいは失ってしまうとか、そういった事態とほとんど一緒なんですね。もちろん一番大変なことです」(小川てつオさん)。「当局は最も貧しい人たちを隠そうとしています。海外メディアや選手たちにきれいな街を見せたいからです。こうした人たちを排除しようとした当局の担当者の中には、『五輪の期間中だけ隠れていて下さい』とはっきり言った人もいました」(木村正人さん)。

「BBCは日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)に取材を試みましたが、誰からも返事はありませんでした。政府は過去にホームレスの人たちについて、路上からシェルターに移動させようとしていると述べています。五輪のための強制排除ではないと言っています」(ソフィア・ベティッツァ)。

しかし、そうしたシェルターではとても狭い部屋に二段ベッドが3つ4つと詰め込まれています。日本のホームレスの人の大半は高齢者でワクチンを受けていません。そのため路上で寝る方が安全だと考えています。

山田さんはこの晩の寝場所を見つけました。大雨だったので国立競技場近くの橋の下に避難しました。「夜を過ごせる公共の場がなくなれば、こうした人たちは生き延びられません。不公平で非人道的です」(木村正人さん)。しかし朝になれば、またしても立ち退きを命じられるでしょう。