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(株)セブン&アイ・ホールディングス【3382】の掲示板 〜2015/04/07

こんな状況に大手流通グループの戦略思惑が加わるのだから、コンビニ受け取りが便利な社会インフラになるのか疑問符が付く。加えて、流通各社各事業の物流網や宅配ルートが無秩序に交錯したままオムニチャネル消費が拡大すれば交通や物流の壮大な無駄と混乱を加速させてしまう。個別企業のオムニチャネル戦略が社会インフラを疲弊させかねない状況には危惧を禁じ得ない。

受け取りサービスはWi-Fiのような社会インフラになる
  セブン&アイHDがセブンイレブン1万6000店でのコンビニ受け取りを自社グループ商品に限定したりヤマト運輸の「宅急便受取場所選択サービス」を拒絶したりと、オムニチャネル戦略の具としている以上、コンビニ受け取りは社会インフラとして国民の生活に定着しない。ならばセブン&アイHD以外の第三者が公的見地から社会インフラとしての近隣受け取りサービスを確立する必要がある。そんな状況下、ヤマトHDがネット通販の後払いサービスを1月から始めた事が注目される。
 「クロネコヤマトの宅急便」で知られる我が国最大の宅配業者ヤマト運輸を中核とするヤマトHDは『社会インフラとしての宅急便バリューネットワーク』を社是に‘ラスト・ワンマイル’の顧客利便を追求して来たソーシャル企業であり、セブン&アイHDがコンビニ受け取りを自社利益追求の具とする姿勢とは対極の社会理念が評価される。これまでも「宅急便店頭受取りサービス」(セブンイレブンでもグループ外企業の商品を受け取れる)や「宅急便コレクト」などで通販商品の決済・受け取り利便を担って来たが、今度はeコマースなど通販商品を顧客が受け取って確認や試着の後、返品や決済が出来るサービスでオムニチャネル消費の利便を一段と拡充する。このサービスは宅急便にファイナンスを加えたもので、グループのヤマトクレジットファイナンスが与信管理を担当する。
 『何時でも何処でも選んで買って受け取れる』オムニチャネル消費が急拡大する中、コンテンツや提供方法はともかく‘ラスト・ワンマイル’の受け取り利便を戦略優位の具とする事には疑問を呈さざるを得ない。セブン&アイHDがセブンイレブン1万6000店を戦略の具とするなら、より社会的見地に立った大手宅配業者がオムニチャネル時代を見据えた新世代の取次店ネットワークで社会インフラを構築する結果を招き、戦略的アドバンテージは短期で失われてしまうのではないか。
 新世代の取次店ネットワークは街の中小零細商店とは限らない。セブンイレブン以外のコンビニチェーンやミニスーパーからオムニチャネル消費の恩恵に加わりたいガソリンスタンドやクリーニング店はもちろん、ファーストフード店やコーヒーショップ、医療・福祉施設まで様々な近隣拠点がデジタル端末を置いて受け取りのみならず双方向のオムニチャネル拠点になるとすれば、自己本位の企業戦略など社会インフラに飲み込まれてしまう。Wi-Fi無料サービスが様々な店で享受出来るように、受け取りサービスも様々な近隣拠点が提供する社会インフラになっていくのではないか。ゆえにセブンイレブン1万6000店の巨大ネットワークは‘ラスト・ワンマイル’の切り札とはならないし、そうさせてはならない。オムニチャネル社会でも「三方よし」や「たらいの水」の商道徳は不滅であって欲しいものだ。

http://www.fcn.co.jp/thesis/hankaku1402.html