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日本市場 全般の掲示板

◇輸出戻し税に溺れた経団連の詐術

消費税は、実際に正しく社会保障目的税として使われているのでしょうか? 調べてみると奇妙なことに、消費税によって得られた税収とほぼ同じくらいの規模で、法人税が減額されているのです。

もう一つ、「輸出戻し税」に関しても疑問があります。海外の消費者に日本の消費税を払ってもらうわけにいかないので、輸出品に対しては消費税を課税しないというのが国際ルールなのですが、輸出業者は、自分が仕入れる際には消費税を払っているので、その分が「損」になってしまいます。

その税負担分を税務署が輸出業者に還付する仕組みを、俗に「輸出戻し税」と言います。

輸出戻し税は、輸出大企業にとっては巨額なものになります。この輸出戻し税が、実質的な輸出補助金になっています。

また、全てとは言いませんが、規模の大きい企業が取引先の下請けなどから仕入れをする際、「消費税の一部をディスカウントしてよ」なとど単価を買い叩くケースがあり、そうしたケースでは「実際は負担していない消費税分」も含めて、戻し税によって補助されていることになります。消費税率が高くなればなるほど、大企業にとっては有利になるわけです。

一方、実質的な税金とも言える社会保険料は、国会で具体的な議論もされないまま、毎年確実に上がり、国民負担率も上昇する一途です。そもそも、日本の消費税は社会保障目的税として、4つの目的(1.年金 2.医療 3.介護 4.少子化対策)にしか使わないとされていますが、税の使用先を決めている国は、日本以外にはありません。

年金・医療・介護は、保険制度として賄うべきであって、収入が大きく変動する税によって運営されるべきではないからです。

経団連は常々、消費税アップを推す意思表示をします。早く19%まで上げたらいいのに……などとまで言います。マクロ経済学的な理論から言っても、実際に何度も景気の腰折れという痛い目に遭った経験則から言っても、消費税増税は景気を悪化させることがわかりきっているのに、なぜ、経団連がそれを容認するどころか、わざわざ望むのか。理由は先述のとおりです。

山岡 鉄秀