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静岡県知事の「リニア妨害」 県内からも不満噴出の衝撃【前編】 (3/5)
2019年10月02日 05時00分 公開

川勝知事の“変身”
 リニア中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づき11年、国策として整備計画が決定し、同年、国土交通省から建設の指示があった。使用される超電導リニアモーターカーは、東海道新幹線が開通する2年前の1962年に旧国鉄の鉄道技術研究所で研究が始まり、国鉄民営化後にJR東海が引き継いだ経緯がある。

超電導リニアMLX01-1(右)と新幹線試験電車300X(左)。リニア・鉄道館にて
 リニア車両は、物質が絶対零度(マイナス273℃)に近くなると電気抵抗が0(ゼロ)に近づいて電気が流れっぱなしになるという超電導の原理を応用している。営業運転している路線は世界にない。すでに開業しているリニアモーターカー(上海トランスラピッドや愛知高速高津の通称「リニモ」など)は、永久磁石と電磁石を利用する常電導方式である。

 超電導と常電導の違いを分かりやすくいうと、パワーのレベルが違う。超電導リニアモーターカーは10センチも浮上するのに、常電導リニアモーターカーはわずか1センチしか浮かない。そのため、超電導リニアモーターカーは、時速500キロでの安定走行による大量輸送が可能で、極めて安全性の高いシステムだ。最高時速は505キロとプロペラ機並みの速さで走る一方、飛行機と比べて環境負荷も小さい。2015年には、リニア実験線(山梨県)の有人走行で、鉄道史上最速の時速603キロを記録している。

リニア実験車両MLU001の超電導磁石。山梨県立リニア見学センターにて
 リニア中央新幹線は、27年に品川(東京)・名古屋間(285.6キロ)を最短40分で結び、37年には品川・新大阪間(438キロ)を最短67分で結ぶ予定だ。この計画が実現すれば、首都圏・中京圏・近畿圏が通勤圏となって、日本人口の半数を超える約7000万人の巨大都市圏(スーパーメガリージョン)が誕生する。巨大都市圏は世界をリードする経済圏となり、経済効果は地方にも波及すると期待されている。東海道新幹線とリニア中央新幹線の東名阪を結ぶ大動脈輸送が二重系化できれば、予想される東海・東南海・南海の巨大地震や頻発する自然災害にも鉄道での輸送が確保しやすい。

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 静岡県にとってもメリットがある。災害時には、東西両方向から救援しやすくなる。また、リニア中央新幹線が全通すれば、東名阪を結ぶ「のぞみ」の役割がリニアへ移るため、ダイヤに余裕ができ、静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の「ひかり」と「こだま」が増発される予定ともいう。

 つまり、リニア開業は静岡県民にとってメリットがある。それにも関わらず、川勝知事は、知事らしからぬ言葉も交えてJR東海を罵倒し続けている。「無礼千万」「頭に来た」「誠意がない」「静岡を(リニア中央新幹線の)ルートから外せばいい」……。川勝知事は、かつて国土交通省の国土審議会委員としてリニア中央新幹線を推進する立場にあった。その間、表立ってリニア中央新幹線に反対したとは聞いたことがない。一体、何が川勝知事を「変身」させたのだろうか。