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(株)吉野家ホールディングス【9861】の掲示板 〜2015/04/07

 消費者の飲酒量の減少などで大手居酒屋チェーンが苦戦する中、牛丼店やファミリーレストランなどの外食チェーンが、“ちょい飲み客”の取り込みに乗り出した。仕事帰りのサラリーマンやカップルらによる夕方の飲酒需要が高まっていることに着目。吉野家は都市部の店舗で居酒屋の本格営業を始めたほか、すかいらーくグループは酒類のボトルキープやビールの割引を実施。居酒屋のお株を奪うサービスで、集客力強化を図る。

 ◆吉野家が格安居酒屋

 平日の午後5時ごろ、JR神田駅(東京都千代田区)のガード下。昼間は牛丼をかき込むサラリーマンらで混み合う吉野家JR神田駅店の軒先に、仕事帰りの客を誘う赤ちょうちんがともった。店の2階部分を利用した居酒屋「吉呑(の)み」の開店だ。生ビールなどの酒類は300円台。既存商品を活用した牛皿(250円)や冷奴(ひややっこ)(160円)に加え、マグロ刺し身(310円)や揚げ物などの定番つまみを約20種用意している。

 吉野家は全国約1200店のうち50店ほどが2フロアの構造だが、「客足の減る夕方以降は多くの店で2階を閉じ、遊ばせている状態だった」と河村泰貴社長は説明する。その有効活用策として、同店の調理スペースを改装、昨年7月から実験的に居酒屋営業を行ってきた。

 食材は、持ち帰りすし「京樽」やステーキ店「どん」など、吉野家グループ各チェーンとの共同調達で原価を抑えた。吉呑みの客単価も、牛丼店の数倍に上る1500円を確保するなど好調だ。吉野家は、今年6月から吉呑みを本格的に展開しており、現在、西五反田(品川区)や十三(大阪市淀川区)など10店舗ある。来年度までに駅前立地店を中心に30店で導入する。

 アルコールメニューを充実させる動きは、他業態の外食チェーンでも相次いでいる。すかいらーくは、7月から主力のファミレス「ガスト」全店で生ビール(449円、税別)を2杯目以降、50円割り引くサービスを始め、同月の酒類売上高を前年比32%伸ばした。中華レストラン「バーミヤン」では、焼酎のボトルキープにも応じている。

 ファストフードでは、バーガーキング・ジャパンが全80店舗の大半でビールを販売しているほか、日本KFCホールディングスも東京・大手町に3月開いた店でビールを提供しており、“大人ケンタッキー”と名付けて展開する計画だ。

 ◆消費者の習慣に変化

 背景には、消費者の外食習慣の変化がある。日本フードサービス協会の統計によると、居酒屋の市場規模は1992年の約1兆5000億円をピークに減少が続き、2011年には1兆円を割り込んだ。

 エヌピーディー・ジャパンの13年の飲酒動向調査では、消費者が居酒屋で酒を飲む機会は09年比で13.3%減だったが、ファミレスでは1.5%増加した。時間帯別でみると、午後2~5時台が09年比で唯一増えた。1人で、または配偶者や恋人と飲酒する機会が増えているという。各チェーンとも、夕方のちょい飲み需要を掘り起こそうと懸命だ。

 一方、居酒屋チェーンも手をこまねいているわけではない。14年3月期に上場後初の最終赤字に転落したワタミは、不振の原因を「総合居酒屋の『安心感』が支持されなくなってきたため」(桑原豊社長)と分析。炭火焼き店や中華料理店、ワインバルなど、専門性の高い業態への切り替えを急いでいる。


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