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ソフトバンク(株)【9434】の掲示板 2018/12/17

孫氏はソフトバンク・ビジョン・ファンドの好調を受け、決算会見で「来年には、今年の規模をはるかに超えて、もしかしたら日本経済が体験したことがないレベルの営業利益を出せるのではないか」と豪語した。ただし、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが計上する利益は、ほぼ評価益で、株式を売却しないかぎりキャッシュが入ってこない。2018年上期の実現利益は1466億円にすぎない。そこで問題になるのがソフトバンクグループの巨額の有利子負債だけでなく、利払いをどう賄うか、という点だ。

ソフトバンクグループ単体の利払い費用は2620億円(2017年度)。これまでソフトバンクグループは、ソフトバンクからの巨額の配当を吸い上げ、利払いに充ててきた。2017年度までの3年間で、ソフトバンクの配当性向は100%を超え、3.1兆円を配当している。ソフトバンクの純利益を4200億円とし、上場後の持分比率約63%、配当性向85%でキャッシュを吸い上げれば、利払いをほぼ賄える計算だ。格付け会社ムーディーズ・ジャパンの柳瀬志樹・シニアアナリストは「ソフトバンクグループが継続的に金利の支払いをしていくには、安定性のある現金収入が必要だ。ソフトバンクグループにとって、その柱はソフトバンクからの配当になる」と指摘する。

こうした戦略もソフトバンクが安定した収益を稼ぎ出し続けられるとの前提に立ったもの。ところが、事業環境には逆風が吹いている。菅義偉官房長官が8月下旬に「日本の携帯電話の通信料金は、4割程度下げられる」と発言。値下げ圧力に屈したドコモは、2019年4月以降に大幅値下げを断行し、来2020年3月期は営業減益となる見通しだ。2019年には楽天も携帯電話事業へ本格参入する。その先には、次世代通信規格5Gへの大きな投資も控えている。ソフトバンクに責任の多くがあったわけではないが、12月6日は広範な通信障害が発生し、先行きに不安を投げかけた。

事業環境が変われば、「価格競争で収益性が圧迫され、設備投資を賄うためにソフトバンクが配当を引き下げれば、ソフトバンクグループの利払いに回すキャッシュフローが減る可能性がある」(ムーディーズの柳瀬氏)。さらに、稼ぎ頭となったソフトバンク・ビジョン・ファンドは保有株の株価上昇が続けば利益を計上できるが、大きく下落すれば、「体験したことのない“損失”」へ逆回転する。