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(株)キーエンス【6861】の掲示板 2024/04/17〜2024/05/10

(日経電子版)
キーエンスが25日発表した2024年3月期の連結決算は、純利益が前の期比2%増の3696億円だった。欧米の設備投資需要を取り込み、工場を自動化するファクトリーオートメーション(FA)機器が伸びた。競合他社が中国の景気減速に苦しむ中、3年連続で最高益を達成した。顧客と協力会社から寄せられる2つの信頼が高収益を支えている。

純利益は直近の市場予想平均(QUICKコンセンサス)を128億円上回った。売上高は5%増の9672億円、営業利益は1%減の4950億円だった。地域別の売上高は米州が15%、欧州は19%増えた。中国含むアジアは2%減った。

「付加価値の高い商品の企画開発、直販体制の強化を継続した結果だ」。キーエンスの中田有社長は25日、大阪市内で前期決算をこう振り返った。

(途中省略)

顧客から寄せられる信頼がキーエンスと他社との明暗を分けた。ゴールドマン・サックス証券の諌山裕一郎アナリストは「当日出荷を代名詞とする即納体制が功を奏した」と指摘する。

キーエンスは国内外を問わず、注文が寄せられた当日にFA機器を出荷する生産・物流体制を構築する。顧客は「注文すればすぐに製品を持ってくる」安心感から「必要なときに必要な量だけ注文を出す習慣がついている」(諌山氏)。

このため、顧客から余分な注文が寄せられず、ムダな在庫を抱えず済んだ。逆に注文から納品まで時間がかかる競合他社は、顧客から一定量の見込み注文が入り、在庫が膨らんだ。

キーエンスは在庫が入れ替わるまでの期間を示す在庫回転日数が31日と短い。ファナック(約164日)の5分の1だ。景気変動時に損益悪化リスクが高まる在庫を極力もたない姿勢が、中国事業の傷を浅くした。

ファブレス企業のキーエンスは、生産を委託する協力会社からFA機器を仕入れる。需給に合わせて協力会社の生産量を調整し、即日出荷を実施する。在庫を多めに持たなくても機会損失を出さないのは、協力会社もキーエンスに信頼を寄せるためだ。

同社が協力会社に通知する生産見通しは精度が高い。ほぼ事前の見通し通りに生産を頼まれるので、協力会社は通知を受けると、すかさず生産準備に入る。代金は納品の翌月に支払われる。SBI証券の小宮知希シニアアナリストは、取引条件の良さから協力会社がキーエンスに「『うちに作らせて』と申し出ている」と語る。

顧客と協力会社の信頼は実績を重ねて獲得したものだ。キーエンスは今期の業績見通しを開示していないが、4年連続の最高益を予想するアナリストが多い。市場予想平均は売上高が創業以来初めて1兆円を超え、純利益は3903億円になると見込む。
(柘植衛)