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(株)大阪チタニウムテクノロジーズ【5726】の掲示板 2024/02/23〜2024/03/01

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sik***** 買いたい 2月25日 16:19

12月の記事です。
銅やアルミなどあらゆる産業で使われる非鉄金属。脱炭素の浸透や各地で続く紛争で事業環境は様変わりしつつある。航空機素材として使われるチタンは、新型コロナウイルスの感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻で需要が大きく揺れ動いた。世界最大手の大阪チタニウムテクノロジーズは、再浮上した航空機向け素材の増産を急ぐ。
 大阪チタニウムの尼崎工場(兵庫県尼崎市)。円柱型のステンレス製の容器が、まぶしいほどのオレンジ色に染まる。容器内ではセ氏900度もの高温で化学反応が進み、ぼこぼことしたスポンジチタンの塊がつくられていく。
 スポンジチタンはチタン鉱石から生み出される細かな穴のあいた金属で、鋳造などの工程を経て航空機のエンジンや機体の材料として使われる。チタンは鉄より4割ほど軽いが、約2倍の強度を持ち、さびにも強い。炭素繊維複合材との相性も良く、航空機の軽量化につながる素材として使われている。
 大阪チタニウムは需要の高まりに備えて、主力の航空機向けで増産投資を続けてきた。チタンは製錬が難しく、スポンジチタンを製造できる企業は世界でも数少ない。市況が悪化した時に生産設備の炉を休止したことはあったが、廃炉にせず需要回復に備えてきた。
 新型コロナの感染が拡大し始めた時期も、中長期的には航空機需要は伸びるとのスタンスを変えなかった。米ボーイングや欧州のエアバスは、航空機の生産機数を大幅に減らし、需要の先行きを見通すのは難しかった。大阪チタニウムも2021年3月期の単独決算は最終損益が50億円の赤字に陥った。だが、苦しいときでも営業活動を地道に続けて、風向きが変わるのをじっと待ち続けた。
 新型コロナの感染が落ち着き、航空機需要は回復期に入った。増加に転じた需要を取り込もうとした矢先に、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた。ウクライナ侵攻を機にボーイングはロシアからのチタン部品の調達を取りやめ、エアバスも徐々に調達を減らした。旺盛な航空機需要に対応するためのチタンの代替調達先として、存在感を一気に高めたのが大阪チタニウムだった。
 「26年には世界で、スポンジチタンの供給力が需要を下回る」。大阪チタニウムはさっそく増産の検討に入った。300億~500億円程度の投資を見込み、米国で初となる工場の新設も視野に入れる。急場をしのぐため、止めていた既存工場の遊休設備も再稼働させる。27年ごろにはスポンジチタンの生産能力を2割ほど増やし、年5万トン程度まで引き上げる計画だ。
 将来に向けた布石を打ち続けたことで、大阪チタニウムは果実にありついた。30年にはスポンジチタンで、1000億円の売り上げを目指す。だが、杉崎康昭社長は足元の活況に浮かれた表情を見せない。「航空機向けの一本足打法には危惧も覚えている」ためだ。
 新型コロナ禍で急激に需要が冷え込んだ後、ウクライナ侵攻を機に一気に増産にかじを切った。航空機向けのスポンジチタンに頼る現在の事業構成では、業績が安定しにくい現状が浮き彫りになった。新たなチタンの使い道を提示して、需要を開拓していく取り組みも欠かせない。
 幅広い用途が期待でき、「夢の金属」とも呼ばれてきたチタン。収穫期を迎えた航空機向けで収益の基盤を築ける今こそ、医療など新たな用途の開拓に向けた種まきの絶好の機会になる。