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(株)新日本科学【2395】の掲示板 2022/07/14〜2022/08/12

新日本科学の出資先であるWave Life Sciences社による新しいRNA編集技術の論文が、今年の3月にNature Biotechnology誌に掲載されていましたが、この技術の応用第一号として、肺と肝臓を冒す遺伝疾患「α1-アンチトリプシン欠乏症」の治療を目指す新規パイプライン「WVE-006」が開始されたことが、同社の2022年第2四半期報告の中で発表されました

遺伝子編集というと2020年にノーベル化学賞を受賞して脚光を浴びたDNA編集技術のCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)が有名ですが、いくら難病を治療する夢のゲノム編集医療とはいえ、人体の設計図の原本であるDNAの遺伝子情報を切ったり貼ったりして本当に大丈夫なのか、後で問題があったと分かった時に元に戻せないような方法はまずいのではないかという懸念は当然出てきます。
ここでWave社が着目したのが設計図であるDNAそのものではなくDNAをその都度コピーしてタンパク質を生産し我々の体を形作っているRNA。RNAがタンパク質を合成するのに使っている酵素を同社が得意とするオリゴヌクレオチドを使って編集すれば、大元のDNA遺伝情報の設計図は触らずにおきながら遺伝子治療の実を上げることができ、しかもその方がDNAを操るよりシンプルで効率が良い遺伝子編集になる可能性があるということで、この有望な新パイプラインWVE-006も、既存のパイプラインである筋萎縮性側索硬化症(ALS)/前頭側頭型認知症(FTD)の核酸治療薬WVE-004などと共に実用化が待ち望まれます。

新日本科学の海外への出資先としてはSatsuma Pharmaceuticals社の治験も進行中。片頭痛急性治療薬を経鼻投与するSTS101の第3相試験SUMMITに患者登録を完了したことが先日発表されており、2022年第4四半期に出る結果が良好であれば新薬承認の申請に進むことになります。直近の第2四半期報告書を見ると、治験が行われているジョージタウン大学病院でSTS101を3~6ヵ月使った参加者の75%以上がこの薬が市販されれば使用する可能性が「高い」または「非常に高い」と回答したとのことで、その効果は患者さんたちに好評な模様。こちらも今後の進捗に要注目です。