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クックパッド(株)【2193】の掲示板 2017/03/01〜2017/03/24

クックパッドお家騒動、創業者に軍配も株主不満
戦略語らぬ経営陣
2017/3/24 0:30日本経済新聞 電子版
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 右肩上がりで業績を伸ばしていた経営陣に創業者がレッドカードを突き付けた料理レシピサイト運営会社、クックパッドの「お家騒動」がようやく幕引きを迎えた。23日の定時株主総会を経て、前社長の穐田誉輝氏が取締役を退任。創業者である佐野陽光取締役が実権を握る新たな経営体制が発足した。佐野氏は「本業」の料理に注力する姿勢を示すものの、不透明な経営戦略や低迷する株価に株主の不満は募る。


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 東京都内で開いたこの日の総会では佐野氏と岩田林平社長、社外5人の計7人で構成する会社側が示した取締役選任案が承認された。しかし、総会は2時間以上に及び、佐野氏に経営戦略などをただす厳しい質問が相次いだ。出席した株主、斉藤茂樹さん(64)は「佐野氏の発言はなし。納得のいく回答はなかった」と怒りをあらわにした。

 クックパッドの内紛が表面化したのは2016年1月。多角化で業績を伸ばす穐田氏の経営戦略に反発し、株式の43%を保有していた佐野氏が自身を除く全取締役の交代を求めた。結果として、16年3月の株主総会は佐野氏が提案したメンバーを中心とする取締役選任案を可決。穐田氏は社長を退任し、取締役に降格していた。

 反目する佐野氏と穐田氏が取締役に居座る状況のまま、クックパッドは穐田氏の多角化路線から「料理」にこだわる佐野氏の本業重視の経営にかじを切った。料理レシピサイトの16年12月期末時点の有料会員数は192万人と1年前から9%増加。売上高に相当する16年12月期の売上収益は26%増の168億円となっている。

 にもかかわらず、クックパッドの株価は低迷が続く。通販サイトや結婚情報サイトなど穐田氏が育てた新規事業の売却を進めていることで将来の成長性を見通せなくなっているためだ。23日の株式市場でクックパッド株は一時、前日比15円(2%)安の930円まで下落し、半年ぶりに昨年来安値を更新した。国内運用会社のファンドマネジャーは「総会で具体的な事業目標などが説明されず、嫌気した投資家が売った」と指摘する。

 さらにクックパッドが新たに掲げた経営目標に関する方針が先行きの不透明感を強めている。

 将来の業績目標や見通しを短期・長期ともに17年12月期から開示しないとするクックパッドに対し、「上場企業として説明責任を果たすべきだ」(いちよし経済研究所の納博司首席研究員)との批判は多い。3年前にクックパッドの株式を購入したという斉藤啓輔さん(40)も総会後、「株価の低迷で被害を受けた株主にもっと真摯に向き合うべきだ」と話した。

 一連の騒動のなか、沈黙を貫く穐田氏は社長退任以降、保有するクックパッド株の売却を進めてきた。その一方では不動産サイト運営のオウチーノを買収し、3月には自身がクックパッド時代に育てた結婚情報サイト運営のみんなのウェディングの株式も58%まで買い増している。

 インターネット関連企業の相次ぐ買収を穐田氏は「投資目的」としてきた。クックパッドとの縁が切れた今後、これらの企業の経営にどう関わっていくのか。次の一手に注目が集まる。(荒尾智洋、南雲ジェーダ)