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1万4千人台と低水準だった64年の自殺者数(警察庁「自殺統計」ほか)

三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 宅森 昭吉 三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 宅森 昭吉

〔図表〕自殺者数の推移 〔図表〕自殺者数の推移

 健康問題、家庭問題、労働問題、男女関係など自殺の理由はさまざまだが、経済問題・生活問題を理由とした自殺も多い。自殺者数のデータは、警察庁「自殺統計」と厚生労働省「人口動態統計」から得ることができる。各統計の自殺者数と完全失業率の年次データの相関係数を、データが存在する最長期間で算出すると、自殺統計では0.912(1978年~2019年)、人口動態統計では0.934(53年~18年)といずれも高い。
 なお、警察庁のデータが「日本における外国人を含む総人口」を対象として自殺死体認知時点で計上するのに対し、厚生労働省のデータは「日本における日本人」を対象とし、死亡時点で計上するという違いがある。また、警察庁のデータの方が早期に公表される。
 前回の東京オリンピックが開催された64年前後の自殺者数の推移を、厚生労働省のデータで見てみよう。53年まで1万人台だったが、54年から60年までの7年間は2万人台に乗った。ピークは58年の2万3,641人だ。戦前の価値観をもった人が急激な時代の変化についていけずに自殺したという説もある。しかし、64年のオリンピック開催が決まった59年から減少が始まる。61年に再び1万人台となり、減少基調は継続。64年の自殺者数は1万4,707人だった。63年から大阪万博が開催された70年までの8年間は、自殺者数が1万4千人台から1万5千万人台という歴史的な低水準で推移した時代であった。その後、第一次石油危機が発生し、高度経済成長が終了した73年前後から自殺者数は増加基調となり、77年には再び2万人台に乗った。
 78年以降、警察庁のデータで自殺者数の推移を見ると、86年をピークに、バブル景気の山である91年まで減少基調で推移した。しかし、バブル崩壊により増加基調に転じ、金融危機の影響で98年に初めて3万人の大台に乗った。増加基調は続き、03年には過去最悪の3万4,427人となった。東日本大震災が発生した11年まで3万人台が続いたため、自殺者数は3万人台というのが常識になってしまった。
 15年ぶりに3万人割れとなったのは12年。近年は、10年から19年まで10年連続で減少した。20年は、年初から4月暫定値までの累計が6,298人、前年比9.6%減少で、このままのペースでいくと2万人を割る可能性がある。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響などを考えると、予断を許さない状況となっている。(「週刊金融財政事情」2020年6月8日号より転載)

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