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コロナショックで日本人のボーナスが危ない!ローン破綻を避けるには

(文 山下 和之) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響がやまず、コロナ倒産が増加、仕事を失ったり、収入が減少する人が急増している。

 住宅ローンの返済がある人の生活はいっそう厳しくなりそうだが、喫緊の課題としてボーナス返済ができるかどうか気がかりという人もいるのではないだろうか。

 7月と1月の引落しになっている場合、この7月を無事に乗り切れるかどうかが心配だし、そこは何とか乗り切れたとしても次の1月はとても難しい――そんな不安を抱えている人が多いのではないだろうか。

ボーナス返済への大きな懸念
 全期間固定金利型の住宅ローン、フラット35を推進している住宅金融支援機構が、2020年6月4日、ホームページのトピックス欄に「新型コロナウイルス感染症の影響で返済困難となったお客さまへの返済方法の変更メニュー及び相談窓口のご案内」というメニューを追加した。

 それ以前から「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」というメニューが掲載されているが、それに加えて今回新たなメニューが加えられた背景には、ボーナス時期が迫っているという問題がある。

 新たなメニューのなかでは、「ボーナス支給時期を迎え、今後ボーナス返済分のお支払いが困難となるお客さまの増加も懸念されるため、改めて機構の返済方法変更メニューと相談窓口をお知らせします」と断り書きを入れているほどだ。

 新聞報道などによると、大手旅行代理店ではこの夏のボーナス支給を見送る方針を打ち出したところがあり、活動自粛の影響が大きい宿泊業、飲食業を初め、カラオケ、パチンコ店に至るまで、今夏のボーナスゼロになるところが多いのではないかといわれている。

地方圏ではボーナス返済利用者が多い
 このボーナス返済、フラット35では元金の4割が上限だが、民間では5割まで認めているところが多い。

 たとえば、借入額4000万円、金利1.0%、35年元利均等で、ボーナス返済しない場合には、毎月返済額は11万2914円だが、毎月分2000万円、ボーナス分2000万円とすれば、毎月返済額は5万6457円ですむ。毎月返済額は半分にできるが、ボーナス分は33万9331円で、ボーナス支払い月の合計額は39万5788円に達する仕組みだ。

 実は、住宅ローンで破綻するケースをみると、このボーナス払いで躓いてしまう人が多い。特に、バブル崩壊後にはローン破綻が続出したが、その多くがボーナス返済で行き詰まり、やがてローン破綻につながってしまったケースだったといわれる。

 そのため、最近ではボーナス返済利用者が減少傾向にあるが、それでもフラット35利用者の調査では、10年ほど前には全国平均でもまだ2割程度の人がボーナス返済を利用していたし、2018年度の調査では12.6%に下がっているが、三大都市圏以外の地方圏では、17.6%と2割近い人たちがボーナス返済を利用している。大都市に比べて給与水準がさほど高くないため、ボーナス返済を利用しないと返済が難しいためだろう。

毎月返済のみに変更可能
 いずれしても、ボーナス返済を利用している人は、ボーナス払いの期日がやってくる前に相談して、条件変更しておくのが無難だ。ボーナス返済をゼロにして、毎月分だけにする、あるいはその割合を調整する、ボーナス支払い月を変更するなどの変更が可能になる。

 たとえば、先の借入額4000万円のケースであれば、毎月5万6457円で、ボーナス加算が33万9331円の合計39万5788円から、ボーナス加算はなしにして、毎月だけの11万2914円にできるわけだ。

 そこまで極端にしなくても、たとえば、ボーナス分を当初の元金2000万円分から1000万円分に減らすと、毎月返済額は8万4685円に、ボーナス加算を16万9669円にできる。ボーナス月の支払いは25万4350円になる。

 ボーナスの支給がゼロになるわけではないのであれば、この程度の変更で何とか対応できるケースがあるかもしれない。

相談件数は累計2265件
 ボーナス返済分だけでなく、毎月の返済も苦しくなりそうという人は、早めに相談するのがいいのだろう。

 取扱い金融機関で直接相談するのが手っとり早いが、それは恥ずかしい、まずはどの程度軽減できるのかなど、相談だけでもしたいという人なら、住宅金融支援機構の「お客さまコールセンター」の利用も可能だ。

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0120-0860-16(通話無料)
9:00~17:00(祝日・年末年始を除き、土日も営業)
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 住宅金融支援機構によると、今回の新型コロナウイルス感染症の影響によるコールセンターへの相談件数は、図表1にあるように、5月までの累計で2265件に達している。

 4月の1158件に対して、5月は878件とやや減少しているが、ボーナスへの不安が高まる6月には、また増える可能性もありそうだ。

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図表1 コールセンターへの相談件数(単位:件)
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5月だけで1000件超の条件変更承認
 相談の結果、取扱い金融機関などで条件変更の申込みを行い、実際に承認された件数も公表されている。

 図表2にあるように、4月は198件だったのが、4月には単月で1000件を突破している。今後、新型コロナウイルス感染症の抑え込みまでに時間がかかるようだと、さらにこれらの件数が増加する可能性もある。

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図表2 返済方法変更の承認件数(単位:件)
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 いまは、まだ大丈夫という人も、実際に条件変更などによって、どんなことができるのか、概要だけでも頭に入れておくと、いざというときに迅速に行動でき、ローンの延滞が続いて、任意売却や競売、果ては自己破産といった最悪の事態を回避できる可能性が高まる。

最大15年間の返済期間延長も…
 民間の金融機関では、条件変更などの内容については公表していないが、住宅金融支援機構では条件変更の対象になる人の条件や条件変更メニューなどをホームページで公開しているので、それが参考になる。

 メニューには、(1)返済特例、(2)中ゆとり、(3)ボーナス返済の見直しの三つがあり、(1)の返済特例は最大15年間の返済期間の延長で返済額を軽減できる。あわせて条件によっては最大3年間の元金据置きも可能。

 (2)の中ゆとりは、業績が好転して収入が回復する、あるいは次の仕事が見つけるまでなどの一定期間のみ、毎月返済額を減らすもので、(3)は先のボーナス返済の変更になる。

 このうち、(1)の返済特例に関しては、

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1. 年収が機構への年間返済額の4倍以下
2. 月収が世帯人数×6万4000円以下
3. 住宅ローンの年間返済額が年収に応じて下記の率を超える人
 年収300万円未満 30%
 年収300万円以上400万円未満  35%
 年収400万円以上700万円未満  40%
 年収700万円以上 45%
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 この1~3のすべてにあてはまる人が対象になる。

何とかなりそうだとしても…
 (1)の返済特例で、どれくらい返済額を軽減できるか、借入額4000万円、金利2.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの場合でみると、当初の毎月返済額は13万2505円。この人が3年経過後に、15年間の返済期間延長の適用を受けると、毎月の返済額は10万3325円に減少する。

 それでも難しいので、3年間の元金据置きの適用を受けると毎月返済額は6万2932円まで下げることができる。これなら、当初の返済額の半額以下だから、何とかなりそうという人もいるのではないだろうか。

 ただ、この返済額軽減はあくまでも一時的なものであり、返済の減免ではない。

 したがって、返済期間が長くなる分、完済までの返済額は多くなるので、収入が回復したら、できるだけ早いうちに、元の返済期間に戻して総支払額の増加を最小限に抑えるようにするのが得策だ。

 いずれにしても、ボーナス返済だけではなく、住宅ローンの返済が厳しくなりそうという人は、以上のような方法があることを頭に入れておき、いざそうなったときには、適切に対応できるようにしておきたい。

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