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新型コロナ対策の補正予算は巨額!リスクは円安方向。ユーロ/円は長期の大底形成中か

政府は新型コロナ対策で第1次補正予算25.7兆円に続き、第2次補正予算31.9兆円を閣議決定した。これはリーマンショック時の34.2兆円、そして東日本大震災時の35.6兆円の2倍近くに達すると志摩氏は指摘 (C)Bloomberg/Getty Images 政府は新型コロナ対策で第1次補正予算25.7兆円に続き、第2次補正予算31.9兆円を閣議決定した。これはリーマンショック時の34.2兆円、そして東日本大震災時の35.6兆円の2倍近くに達すると志摩氏は指摘 (C)Bloomberg/Getty Images

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■最近はやりのMMT。アナウンサーがテレビで話す時代に
 4月の上旬頃だったでしょうか。日本の新型コロナ対策が遅くてしょぼいと批判が高まっていたときでした。

 ふとテレビを見ていると、お笑い界の大御所が「審査とかしていると時間がかかるから、とりあえず全員に払えばいいじゃないか。日銀がお金刷るだけだろう」と言い、これに対し、アナウンサーが「確かに日本は、自分の通貨、自分の国で刷ってますから、何のことはないのですが」と返しているところを聞きました。

 会話の細かいところは間違っているかもしれません。しかし、言っていることは最近はやりのMMT(現代貨幣理論※)です。

(※編集部注:MMT(現代貨幣理論)とは、自国通貨を持つ国はいくらでも自国通貨建て国債を発行して債務を拡大できるため、財政の均衡より経済の均衡を目指すべきという理論のこと)

 自国通貨を持つ国は自国通貨建ての国債を無限に発行できるので、それで景気をサポートすべきだという理論ですが、少し前まで極めて危険とされていた理論を、大手放送局のアナウンサーまでがテレビの前で話すとは、時代が変わったなと思います。

 これを聞いた視聴者の方も、自国通貨建ての借金はいくらでもできると自然に思うでしょう。

■新型コロナ対策の補正予算は東日本大震災時の2倍近くに
 非常時ではあります。ですが、その借金を将来どうやって返すのか、その心配をする人はいなくなりつつあります。

 今やっている政府のサポートは、他国と比較して少ない、もっとしっかりやれ、というのが世論です。

 私個人としても、政府はしっかり保障すべきとは思っています。ですから、気持ちは先ほどのアナウンサーと同じです。

 しかし、第1次補正予算25.7兆円に続き、第2次補正予算31.9兆円と続くと、「ん、待てよ」と思います。

 これはすでに、リーマンショック時の34.2兆円、そして、東日本大震災時の35.6兆円の2倍近くに達しています。

 今後、感染の第2波が来たりすると、第3次補正予算も出てくるのでしょうか。

 日本は、景気後退と、税の納付猶予から、税収はかなり落ち込むことになります。

 国家予算のかなりの部分を借金で賄うことになりそうです。

■日銀の無制限国債買い入れは用意周到な政策だった
 ここで気になるのは、4月27日(月)の日銀政策決定会合で決められた政策変更です。

 これまで長期国債の買い入れについては「保有残高の増加額年間約80兆円をめど」としていましたが、これを「上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う」と、無制限買い入れに変更しました。

 しかし、これまでも80兆円と言いながらも、実際の買い入れ額は10兆円台の半ばぐらいであり、YCC(イールド・カーブ・コントロール)政策を2016年に導入以降、80兆円という数字は有名無実と化していました。

 実態のない80兆円という数字を無制限にしたところで、日銀は単に「意気込み」を見せているだけで、意味のないことだろうと多くの市場参加者はたかをくくっていました。

 ところが意味のない変更どころではなかった。

 この時すでに、財務省および政権との「阿吽の呼吸」のもと、近い将来の国債増発を見据え、用意周到に準備した政策だったのです。

 よく、「じゃぶじゃぶにお金を刷る」という表現がなされますが、あまり正確ではありません。

 これまでは金融緩和はしましたが、銀行の貸し出しは伸びておらず、消費者および企業に十分に行き渡っていたわけではありません。

 しかし今回の危機で、お金は消費者、そして中小企業に直接手渡されます。インパクトは違ってきます。株価が上昇するのも不思議ではありません。

 しかし一体、どこまで債務を膨らますことができるのか。

 自国通貨を持つ国は、自国通貨建ての国債をいくらでも発行できます。

 とはいえ、返済能力を超えて債務を膨らませると、国債が暴落するため、それ以上は借金できません。

 ところが、この国では日銀が無制限買い入れを行うことになっているので、国債は暴落しないで、いくらでも借金を増やすことができます。

■日本は「MMTライト」くらいまで来ている
 では、本当に何もないのかというと、そういうことは絶対ありません。

 その場合、「通貨」が下落し、インフレになることでツケを払います。

 MMT理論では、本当にハイパーインフレになりそうになったら、そこで政策を止めることになっています。

 しかし、本当にできるのか。そもそもハイパーインフレの入り口まで行っていいのでしょうか?  

 日本がすでにMMTなのかというと、議論はあると思いますが、「MMTライト」、「MMTミニ」ぐらいのところに来ているのではないでしょうか。

■リスクは円安方向。米ドル/円は110~112円へ
 円の相場観に関して、円は割安であること、コロナ危機でデフレがさらに進行すると見ていたことから、円は上昇するのではないかと思っていました。

 しかし、第2次補正予算の数字を見て、気持ちは変わりました。すでにMMTライトなので、リスクは円安方向かもしれません。

 米ドル/円は長い間、107円台でのもみ合いが続きましたが、リスクとしては円安方向を見たいと思います。110円、そして112円方向でしょうか。

■4年弱のサイクルがあるユーロ/円は大底形成中かも
 欧州では「欧州復興基金」設立が決まりそうです。

 初めてEU(欧州連合)名義での資金調達が始まりますが、画期的なことです。

 ユーロ/円の長期チャートを見ると、過去、大底をつけたのが、2009年1月、2012年7月、2016年6月と、おおよそ4年を少し切るサイクルで来ています。

 仮に前回同様、3年11ヵ月とすると、それは2020年5月となります。

 サイクル的にも、ユーロ/円は長期の大底形成をしつつあるのかもしれません。

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