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外国人買いは本物か、「不安の壁」駆け上がる先導役に急浮上 <株探トップ特集>

上昇基調を強める東京株式市場。その原動力は、外国人投資家による買い戻しだ。年初から大量売り越しが続いただけに、市場には踏み上げによる一段高期待が強まっている。 上昇基調を強める東京株式市場。その原動力は、外国人投資家による買い戻しだ。年初から大量売り越しが続いただけに、市場には踏み上げによる一段高期待が強まっている。

―買い戻し基調は強い、景気後退は最も深く最も短くなる可能性も―

 東京市場が上昇基調を強めている。 日経平均株価は2万2000円台を約3ヵ月ぶりに回復し、なお一段の上値を試す展開となっている。足もとの東京市場は上値を切り上げる状況にあるが、その原動力となっているのが、外国人投資家だ。それまでの大量売り越しから、足もとでは一転して買い姿勢となった外国人買いの背景には何があるのか。また、外国人が狙う銘柄とは何か。

●外国人は現先合計で15週ぶり買い越し、経済活動再開への期待が背景

 2日の日経平均株価は前日比263円高の2万2325円と大幅続伸。1日に終値ベースで2月26日以来、約3ヵ月ぶりとなる2万2000円台を回復したが、この日も買い優勢で一段高となった。先月20日からの日経平均株価の上昇率は8%強に達しているが、特に新型コロナウイルスによる「緊急事態宣言」の解除が発表された25日からは上昇に拍車がかかった。この背景にあるのが「欧米と同様に日本も経済活動再開による景気回復期待が高まったこと」(市場関係者)だ。そして、この上昇相場のけん引役を果たしているのが外国人投資家だ。

 海外勢は、年初から一貫して日本株に対して売り姿勢を続けてきた。しかし、東京証券取引所の投資主体別売買動向によると、5月第3週(18~22日)に海外投資家(外国人)は現物で6週ぶりの買い越しとなった。特に、現物と先物を合わせた現先合計では、2月第1週以来となる15週ぶりの買い越しを記録した。

●日本のコロナ被害は欧米に比べ軽微、ヘッジファンドなど買い戻す

 外国人投資家は、現先合計ではなお年初から累計で8兆5000億円近い大量の売り越しとなっている。しかし、なぜ外国人は足もとで買い越しに転じたのか。東海東京調査センターの庵原浩樹シニアストラテジストは「外国人は日本の新型コロナ対策に、懐疑的な視線を向けていたと思う。それが大幅なショート(空売り)の積み上がりとなって表れていた。しかし、日本のコロナ死者数などは欧米に比べ少なく、5月下旬には緊急事態宣言が解除され、経済活動の再開に向かい始めた。このことが、海外の空売り筋を買い戻しに転じさせた大きな要因だと思う」とみている。短期筋のヘッジファンドなどが買い戻しの中心とみられているが、同氏は「海外勢の売り越し金額は大きいだけに、外国人買いはまだ続くと思う」という。

●真水でGDP10%超の財政出動も追い風に

 また日本経済に対する前向きな見方も一気に表面化し始めた。国民に1人10万円の現金給付を行う経済対策を機に個人消費は5月から回復し始めている、という声がある。政府は先月27日に20年度の第2次補正予算を閣議決定。事業規模は第1次補正と同規模の117兆1000億円、真水に相当する国費の投入は33兆円程度と第1次補正との合計で60兆円強とGDPの10%強に相当する規模となった。この第2次補正予算の策定も、売り方の買い戻しを誘ったとみられている。

 更に、国内大手証券は先月末に「戦後最も深く、最も短いリセッション(景気後退)か」とリポートで言及し今後の経済統計の前月比が急回復する場合、「夏場にかけて想定以上のラリーが生じるシナリオもあり得る」と予想した。過去のリセッションでは政策は小出しになったが、今回は突如底割れしたため、財政・金融がフルサポートされ、金融緩和も続いており、市場には待機資金が積み上がっていることを指摘している。

●今月内に2万3000円回復期待も、自動車や証券株など注目

 ただ、市場には先行きを慎重にみる声は少なくない。「外国人買いは、利益確定によるショートカバー(買い戻し)に過ぎない。景気の先行きに不透明感が強いなか、海外勢が本格的に買い転換することはないだろう」といちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役はいう。同氏によれば「外国人は『米国買い・日本売り』のポジションをとってきたが、米国市場が上昇するなか利益確定で米株を売ると同時に日本株を買い戻したのだろう」と分析している。とはいえ、「外国人投資家の売り越し金額は非常に大きい。全体のなかの一部にショートカバーを入れるだけでも、日経平均株価は6月中に2万3000円まで値を上げてもおかしくない」と秋野氏は予想している。

 そんななか、外国人投資家の買いが見込めるのは景気敏感株との見方が多い。前出の庵原氏は「海運に加え空運株など、それに株式市場の戻りで証券株も面白そうだ」という。また、秋野氏は「自動車株や機械株などには買い余地がありそう」とみている。商船三井 <9104> やANAホールディングス <9202> 、野村ホールディングス <8604> 、それにトヨタ自動車 <7203> や安川電機 <6506> などに上値が期待される。

 また、「外国人は来週12日の先物SQの頃までは買いを入れそうだが、その後は一服する可能性もある」(市場関係者)との見方も出ている。先行きには強弱感は対立するものの、日経平均株価の一段高期待は強まっていることは事実だ。東京市場は外国人を先導役に「不安の壁を駆け上る」展開が期待されている。

株探ニュース(minkabu PRESS)

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