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新型コロナ対応で明暗分かれる香港とシンガポール-社会的距離に違い

(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の初期段階でそれぞれ大きく異なる手法を採用しながらも、共に感染の抑え込みに成功していた香港とシンガポールだが、ここにきてシンガポールの感染者が急増している。早くから社会的距離を巡る措置を講じた香港とは対照的に、経済への悪影響を最小限に抑えようとしたシンガポールは、結果的に代償を払うことになったのかもしれない。

香港の1日当たりの新規感染者数は最近、数十人程度にとどまる一方、シンガポールでは外国人労働者用の宿舎などを中心に感染の広がりが見られ、この2週間で180%増えた。シンガポールが9日発表した新規感染者は287人とこれまでの最多を記録し、計1910人に達した。香港の2倍超に相当する。

新型コロナへの対応で相対的に抑制されたアプローチを採用していたシンガポールは、学校の休校や全員マスク着用の呼び掛けなど、香港が初期段階から講じていた措置を一部見習うことになった。今ではさらに踏み込み、社交的な集まりを全て禁止、必要不可欠なサービスを除く企業も休業させることにした。

17年前に重症急性呼吸器症候群(SARS)の痛手を受けた経験から、早い段階から厳しい措置を講じた香港の姿勢が奏功しつつある。

米ニュージャージー州シートンホール大学グローバル衛生研究センターのディレクター、ヤンチョン・ホアン教授は、「香港は非常に早くから防護の最大化に向け動くことを選択したが、シンガポールは比較的慎重で、経済や社会の混乱を最小限に抑えることを優先したように見える」と指摘。

「シンガポールで起きた新型コロナ感染の第2波は、感染拡大へのアプローチを巡る香港との違いを浮き彫りにした。手法のわずかな違いであっても、結果としてこれほどの開きが生まれると説明する上で重要になる」と話す。

シンガポールで新型コロナ対応のタスクフォース共同責任者を務めるローレンス・ウォン国家開発相は先週の記者会見で、社会的距離政策があまりに長く続くと、住民が疲弊する可能性があるとして政府の姿勢を擁護。「現在議論しているような措置をかなり早い段階で全て導入していたとしても、同じ状況に置かれていた可能性は十分ある」と語った。

多くの先進国に比べれば新型コロナ感染を抑え込めているとはいえ、香港とシンガポールの明暗は長期的に見れば早期、かつ厳しい社会的距離を取った方が経済にはプラスになる可能性があることを示している。

原題:Hong Kong Edge Over Singapore Shows Early Social Distance Works(抜粋)

(c)2020 Bloomberg L.P.

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