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築古物件の見学、一級建築士が見るのはココだ!《楽待新聞》

(写真:不動産投資の楽待) (写真:不動産投資の楽待)

一級建築士をはじめとする建物のプロに実際に物件を見てもらい、物件でチェックすべき点を解説する連載企画。投資家が最低限知っておきたい建物に関する知識をわかりやすくお伝えする。

実際に物件を見学していただくのは、一級建築士の資格を持ち、「NPO法人建築Gメンの会」の理事長を務める大川照夫さん。

大川さんに見学いただいたのは、築28年、軽量鉄骨造の2階建てアパートだ。間取りは1K×8戸。単身者向けにはうれしい、テレビ付きインターフォンや宅配ボックスなどの設備がある。また、備考欄には「ペット相談可」と記載されている。

○物件概要
・物件所在地:神奈川県
・種目:一棟アパート
・物件価格:1950万円
・構造:軽量鉄骨造2階建て
・間取り:1K×8室
・築年数:1993年1月築(築28年)

■外観チェック

○基礎

大川さんがまず確認したのは、建物の基礎部分だ。モルタルで化粧仕上げをしているが、中の鉄筋が見えている。こうした現象は「爆裂現象」と呼ばれる。爆裂現象とは、コンクリートの壁面に発生したクラックに雨水や空気が侵入し、内部の鉄筋が錆び、錆びた鉄筋が次第に膨張して、コンクリートを破裂させることだ。

大川さんによると、「爆裂現象が起きているということは鉄筋コンクリート造の工事として間違っている」という。本来だと、「スペーサーリング」と呼ばれるドーナツ型の製品を鉄筋にはめ込んで、鉄筋に対してコンクリートがかぶる厚さを十分に確保して施工するという。

爆裂現象が起きている場合、破裂しているコンクリート部分を排除して、鉄筋の錆止め処理を行ったあと、モルタルで塗り重ねて鉄筋を保護することが必要になるそうだ。さらに傷みが進まないように、適切な処置をしておきたいところだ。

○外壁

次に確認したのは、外壁に貼られているサイディングボードだ。サイディングボードの継ぎ目に打たれたシーリングを見ると、劣化してひびが入っていた。このように、ひび割れた箇所から水が差し込み、骨組みなどが傷んでしまうという。基礎に近い部分の鉄骨の部材が腐ったり、錆びが発生したりするそうだ。

鉄骨造や木造など構造種別にかかわらず、外壁材の防水処理は維持する必要がある。大川さんによると、新築から10年後くらいがシーリングやりかえの目安。外壁の継ぎ目部分のほか、サッシと外壁のつなぎ目部分のシーリングも同様に確認が必要だ。

○屋根

屋根には、「ドーマー」が設置されていた。ドーマーはその形状から「鳩小屋」とも呼ばれ、一般的にはロフトなど屋根裏部屋への採光や通気を目的に取り付けられる。

ただし大川さんによると、この物件のドーマーは単なる飾りとして設置された可能性が高いという。屋根面は凹凸が少なくシンプルなつくりの方が雨漏りの心配が少ないため、屋根にこうした装飾があるかどうかも、物件選びのポイントの1つになるだろう。

屋根は、傾斜なりに連続した面で構成された方が、故障も少なく雨漏りの心配も少ないため、購入予定の物件を実際に見て、屋根の状態についても確認しておく必要がありそうだ。

屋根面についても様子を確認した。コロニアル葺きの屋根は、コケや藻類が繁殖してかなり汚れていた。

大川さんによると屋根の勾配がしっかり確保されている点は良いが、こういった汚れを放置しておくと屋根材を傷める原因となってしまうことがあるという。

メンテナンス方法としては、高圧洗浄機を使用してコケや藻類の除去。それに加えて、屋根の表面に撥水処理と塗装をかけることもすると良いと大川さんは言う。

■室内チェック

○壁

室内に入り、大川さんが確認したのは、隣の部屋との境界である界壁。下記に図解しているのが仕様の1つである。それぞれの居室側に石膏ボードを2枚重ねで貼り、その中間にグラスウールやロックウールといった吸音材が補填されているという仕様だ。

また、そうした界壁が屋根の小屋裏まで達しているかどうかについても、気を付けてみておきたいポイントだ。以前、大手不動産会社「レオパレス21」が販売した物件の一部で、建物の延焼防止などのために設置されるべき「界壁」の施工がされていなかったことも記憶に新しい。

今回の物件の界壁を浴室の天井点検口から確認したところ、屋根の小屋裏まで界壁が達していたので問題はなかった。

○断熱材

次に大川さんが確認したのは、小屋裏の断熱材だ。今回の物件の小屋裏には、グラスウールという断熱材が補填されていた。

小屋裏には通常、湿気がこもらないように「小屋裏換気口」が設けられている。そのため、小屋裏の空間は常に外部と繋がっていることになり、小屋裏の温度は室外と同じである。したがって、室内との境界にあたる天井裏など外気に接する面に断熱材を補填して空気を遮断しないと、エアコンなどで調整した室内の熱が天井から逃げていくという。



基礎の立ち上がり部分で発生していた鉄骨の爆裂現象や外壁のシーリング材の劣化、屋根面の汚れなど、実際に物件に足を運んでみることで、発見できる点がいくつもあった。購入後に後悔しないためにも、現地を訪れて細部まで確認しておきたいところだ。

また、そうした細かい部分をチェックするだけでなく、それまでにどのような補修をいつぐらいの時期に行ったかという、修繕履歴についても物件を購入する前にチェックしておきたい。そして、今後の修繕計画についても過去の修繕履歴をもとに作成して、必要な補修をしっかり行っていきたいところだ。

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