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19日にも衆院通過 「日米貿易協定」は何が問題なのか?

[写真]安倍首相は日米貿易協定を「ウィンウィン」の内容だと説明するが……(ロイター/アフロ) [写真]安倍首相は日米貿易協定を「ウィンウィン」の内容だと説明するが……(ロイター/アフロ)

 米国と日本の貿易や関税について定めた日米貿易協定が19日にも衆議院で採決される見通しとなっています。安倍晋三首相が「ウィンウィン」だと説明するこの協定については、米国相手に粘り強く交渉した結果であると評価する声がある一方、日本が譲歩し過ぎているとの批判も出ています。実際のところこの協定は日本に不利なものなのでしょうか。

関税撤廃は実際は約束されたのか?
 政府は10月7日、日米貿易協定に正式署名しました。この交渉は今年の前半から続けられてきたもので、9月に行われた安倍首相とトランプ米大統領の首脳会談で最終合意に至りました。焦点となっていた自動車の追加関税は回避され、農業についても日本側が警戒していたコメの無関税輸入枠は設定されませんでした。牛肉や豚肉についても、基本的にはTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の水準で落ち着きましたから、この部分については日本側が大きく譲歩したわけではありません。コメの無関税輸入枠については、TPPでは7万トンの輸入を認めていましたから、むしろ前進といってよいでしょう。日米両政府は来年1月1日の発効を目指しています。

 しかしながら、この協定に大きな問題があるのも事実です。自動車の追加関税こそ回避しましたが、自動車の関税については、撤廃交渉が継続扱いとなっており、実質的には先送りにされてしまいました。つまり、米国はいつでも自動車の関税引き上げをチラつかせ、日本側に様々な要求を出すことができます。

 トランプ大統領は次期大統領選挙を控え、交渉妥結を急いでいましたし、日本側もTPP水準でまとめられれば及第点との認識がありましたから、交渉の先送りは一つの戦略といえなくもありません。しかし問題は、この交渉経緯に関する政府の説明です。

 両国の合意文書は英語と日本語で作成されていますが、英文には「自動車および自動車部品の関税は、関税の撤廃に関するさらなる交渉の対象となる」とハッキリ書かれていますが、なぜかこの部分については英文のみとなっており、日本語の文書には該当部分が存在しません。一部の政府関係者がマスメディアに対して「関税撤廃は約束された」という趣旨の発言をしたことから情報が錯綜している状況です。

 仮に今回の交渉が100点満点のものであったとしても、合意内容とは異なる可能性の高い情報を国民に流すといった行為があると、すべての信用が失墜してしまいます。インターネット上などで一部の国民から「政府は国民をバカにしている」との意見が出るのもやむを得ないでしょう。

 このほか関税の撤廃率や農産品に関するセーフガード発動水準など、いくつか問題点が指摘されています。

(The Capital Tribune Japan)

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