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パン業界に革新!冷凍食品の新星「冷凍パン」はこんなに美味しい

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(文 西川 剛史) 冷凍食品の進化が止まらない――。慢性的な人員不足から減少傾向にあるパン屋だが、その問題を解決すべく作られた「冷凍パン」が家庭向けに販路を拡大しているという。人気の背景、そしていまイチ押しの冷凍パンについて、冷凍食品に詳しい“冷凍王子”こと西川剛史氏に話を聞いた。

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「冷凍パン」とは?
 元々、「冷凍パン」は業務用として開発された商品です。従来のパンの製造工程は、パン職人が朝早く起きて、生地をこねて、さらにそこから一次発酵、二次発酵と時間をかけて作っていました。そのため、朝からパンを出荷・販売しようとすると、日の出前からの仕込みが必要となり、結果、パン屋の労働環境の悪化を招いていました。

 また、パンは酵母を使った商品なので、その日の気温や温度の具合で味のバラつきが生じます。加えて職人の熟練度によっても、やはり味に影響を与えます。

 そこでパンの品質を安定させ、なおかつ作り手の労働環境を向上させるため、冷凍パンが開発されたのです。

 日本で最初に冷凍パンに力を入れたのが、1948年創業の老舗パンメーカー「アンデルセン」。1970年に他社に先駆けて広島県に自社の冷凍パン専門の工場を作りました。これを機に、店舗に職人がいなくても、冷凍パンをオーブンにかけるだけで、美味しいパンを安定して供給できるようになります。

 冷凍パンは大きく2種類に分けることができます。1つが、焼成済みの冷凍パン。これは焼きあがった状態のものを冷凍したパンで、お客さんが解凍して軽くトーストして食べます。もう1つが、その前段階にあたる焼成前の冷凍パン。焼成前ということは、生地をこねて発酵させた後の状態。オーブンで焼くことで、焼きたてのパンが食べられるというものです。

 焼成前の冷凍パンも、細かく一次発酵まで、二次発酵までと段階が分かれています。一次発酵までの冷凍パンは、自分で自由に形成できるので、コッペパンにしたり、ロールパンにしたりと、好みに合わせて使い分けができます。一方、二次発酵は焼くだけで食べられる手軽さがあります。

 前述の通り、これまで冷凍パンは、チェーンのパン屋さんやホテル・飲食店といった業務用として流通していました。それが国内にある地方のパン屋を中心に、家庭用の冷凍パンを販売が行われるようになったことで人気に火がついたようです。

 元来、パン好きで知られる日本人ですから、パンに求める味のハードルは非常に高い。そんな中で、手軽に焼き立ての味を家庭でも楽しめる冷凍パンは、まさに消費者が求めるパンだと言えます。

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本当の「焼きたて」は冷凍パンだけ
 「焼きたて」というフレーズは、パン屋さんでも良く聞きます。しかし、そのほとんどはやっぱり焼き上げてから1、2時間は経っています。そういう意味では、目の前でオーブンで焼きあげ、食卓にあがる冷凍パンは、本当の「焼きたて」と言えるでしょう。

 冷凍パンの特徴としてまず挙げられるのが、「保存料不使用」という点です。スーパーなどでよく見る常温保存のパンは、日持ちがしないものなので、そのぶん保存料を使用しています。一方、冷凍パンは、マイナス18度以下という冷凍環境で保存されるため、微生物は活動できません。そのため、そもそも保存料を使用する必要がないのです。

 味の観点からも、冷凍パンが普通のパンより優れている理由があります。常温保存のパンは時間経過と共ににデンプンの劣化現象が起こります。デンプンはパンの美味しさの基であり、これが失われることでボソボソとした食感になってしまいます。また、水分も蒸発してしまうので、パン自体が硬くなります。

 こうした“パンの老化現象”を防ぐもっとも良い方法が冷凍保存なのです。冷凍パンはデンプンが劣化しにくく、なおかつ水分が蒸発しないため、長時間保存していても、しっとりとした瑞々しい美味しさが維持されるというわけです。

 もちろんデメリットがまったくないというわけではありません。まず、パンという性質上、中に空気が詰まっているため、冷凍庫で保存すると意外にスペースを取ってしまうことがあります。一般的な冷蔵庫は冷凍庫のスペースがそこまで広く取られていないため、一度にたくさんの冷凍パンを保存しておくのは難しいかもしれません。

 また現在のところ、冷凍パンは店頭販売ではなく、通販での販売が主流のため、送料などで通常のパンよりはちょっとお高めになる可能性もあります。中には、送料だけで1000円程度がかかってくる場合もあるので、もし日常的に食べようと思うなら、定期購入で送料の負担を少しでも減らすことがおすすめです。

写真はPan&公式サイトより 写真はPan&公式サイトより

おすすめ冷凍パン3選
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(1)Pan&(パンド)の「ハニーソイ」/2個入り216円(税込)
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 株式会社スタイルブレッドが提案する冷凍パンブランド「Pan&」は、とりわけ女性の人気を集めています。美味しさの理由は、「桐生酵母」と呼ばれる同社の自家製天然酵母と厳選した小麦・塩・水。小麦の甘さがしっかり引き出されています。

 おすすめは、ほんのり甘い「ハニーソイ(はちみつ豆乳パン)」。一度焼きあがっている焼成済みの冷凍パンなので、トースターでリベイクしてあげることで、より美味しさが際立ちます。

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(2)ふくらむ魔法の冷凍パンの「ふくらむ魔法のメロンパン(プレーン)」/2個入り360円(税込)
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 和歌山に工場を持つ株式会社ブーランジェリーピノキオが手がける「ふくらむ魔法の冷凍パン」シリーズ。焼成前の二次発酵後の冷凍パンで、その名の通り、凍った状態のままオーブンで焼くと、大きく膨らんで焼き上がります。二次発酵後のパンは酵母が生きたままなので不安定なのですが、同社の特許製法により安定して膨らむそうです。

 定番商品が「ふくらむ魔法のメロンパン(プレーン)」。外側はサクッとして、中はふんわりと、冷凍パンとは思えない味わいです。メロンパンの表面はしっとりが好きな人、カリカリが好きな人と分かれますが、食感を焼き具合で調節できるのも嬉しいです。

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(3)Picard(ピカール)の「クロワッサン」/10個入り843円(税込)
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 フランス発の冷凍食品専門店Picard。一号店の青山ほか東京、神奈を中心に実店舗がありますが、そこで1日3000個を売り上げる人気商品となっているのが、フランスの朝の定番「クロワッサン」です。

 オーブンで焼くだけですぐ食べられる気軽さと、ヨーロッパの小麦、パターをたっぷりと使用した、本場のフランスの味そのままの美味しさが人気のようです。また、1個あたり約80円と、冷凍パンの中では非常に高いコストパフォーマンスも魅力です。

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