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中国「デジタル通貨」の衝撃で、ビットコインが爆上げする「Xデー」

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中国人民銀行の要人が語った!
(文 砂川 洋介) 8月10日、中国人民銀行(人民銀行)の幹部が、人民銀行が近々発行を予定しているデジタル通貨に関して、「いつでも出せる状態にある」と中国でのフォーラムにおいて発言した。

 この発言をめぐって、マーケットは話題騒然。中国のデジタル通貨の「スタート時期」について様々な情報が飛び交うなど、真偽不明のものを含めて情報が錯綜し始めている。

 仮に中国が本格的に通貨としての「デジタル人民元」を始めれば、それはフェイスブックが始めると表明したことで金融業界に激震が走った仮想通貨リブラ以上の衝撃になりかねない。

 まずは、人民銀行が考えているデジタル通貨がどのようなものか、そして、いつからスタートする可能性があるのかを整理しておこう。

 8月10日の人民銀行幹部の発言によると、「人民銀行が銀行などの金融機関にデジタル通貨を発行し、金融機関が一般消費者に対して法定通貨と交換する形でデジタル通貨を提供する」としている。

 同幹部はデジタル通貨の形式をこのように「二段階」とした理由については、「中国は教育やネットの普及具合のほかリテラシーに大きな格差が存在する。格差が大きい経済体において、中央銀行が直接国民に対しデジタル通貨を発行するのはあまりにもリスクが大きい」と説明している。

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Xデーは「独身の日」…?
 中国人民銀行幹部は、「デジタル通貨は中央銀行の社会や国民に対する負債で、国民や金融政策に対する責任を果たすために、中央集権的な管理モデルを採用する」とも語っている点は注目に値する。

 そのほか、「ビットコインやイーサリアムなど既存の仮想通貨の取引処理速度では、中国のネットショッピングのピーク期に対応しきれない」とも指摘しており、「デジタル通貨発行に際して、ブロックチェーン技術だけを採用することはない」としているのだ。

 米大手SNSのフェイスブックが仮想通貨「リブラ」を発表した際には、リブラがどのようなものなのか説明する機会があったほか、説明書に該当するホワイトペーパーも存在し、内容を確認することができた。

 しかし、今回は人民銀行の幹部が話しただけの情報しかなく、人民銀行が発行準備を進めているデジタル通貨が具体的にどのようなものなのか全貌を把握するのは難しい。

 そのため、中国国内を筆頭に様々な思惑が飛び交っているわけだが、幹部のコメントに「ビットコインやイーサリアムなど仮想通貨の取引処理速度では、中国のネットショッピングのピーク期に対応しきれない」とある点はヒントになる。

 同コメントから考えるに、年間で最もネットショッピングの取引高が計上される11月11日、つまり「独身の日」の前にデジタル通貨はリリースされるのではないかという指摘が出始めているのだ。

 実際、中国が起源の「独身の日(1が4つ並ぶため)」は、日本では考えられない規模の取引高が計上される。

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ビットコインの爆上げ、再び
 昨年、中国ECプラットフォーム最大手のアリババが、取扱高でスタートから2分5秒で、100億元(日本円で約1600億円)を突破。1日で過去最高となる2135億元(3兆4160億円)を記録したことは記憶に新しい。

 ちなみに、国内最大のECプラットフォームである楽天の昨年10-12月期の国内EC流通総額(取扱高)は9,744億円である。3カ月も費やして約1兆円の取扱高であることから、独身の日の取扱高がどれだけ桁違いなのかおわかりだと思う。

 人民銀行の幹部がコメントした背景には、こうしたネットショッピングのピーク時を想定してデジタル通貨が設計されているとも読み取れる。

 さて、フェイスブックが仮想通貨リブラを発表したタイミングで、ビットコインなど暗号資産は思惑的な買いが入ったことなどから上昇する流れとなったことを思い出していただきたい。

 もともと、Facebookが独自の仮想通貨の開発を行っていることは業界内でも有名だった。にもかかわらず、発表後、市場の初動は「仮想通貨買い」だった。

 今回の人民銀行によるデジタル通貨の話も、開発を行っている話がかなり以前から伝わっている点やスキームまでは伝わっていない点は同じだ。思惑先行ではあるが、人民銀行がデジタル通貨のスキームやリリース日を発表したタイミングで、市場はリブラ同様、買いの反応を示すかもしれない。

 その「買い」、つまり上昇が長続きするかどうかはデジタル通貨の内容次第と考えるが、メディアが大きく取り上げることで仮想通貨全体の知名度が上昇するポジティブな効果をもたらすだろう。

10月1日の国慶節も…?
 最後に、発表のタイミングに関してだが、独身の日である11月11日より前が考えられるほか、建国70周年である10月1日の国慶節も十分考えられよう。人民銀行の幹部が自国内のフォーラムでこれだけの話をする以上、ほぼリリース間近である公算が大きい。

 仮に10月1日の国慶節のタイミングであれば、独身の日にも十分間に合うし、国威発揚効果も大きい。

 また、足元発生している香港の大規模デモへの関心を低下させる効果もあろう。

 世界の関心だけではなく自国民の目もデジタル通貨に向かわせることで隠れ蓑とした状況下、香港の大規模デモへの具体的な介入を行うことまで考えているのであれば、習近平国家主席は希代の策士である。

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