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魔王 diabolo

魔王 diaboloの掲示板

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  • 2022/01/04 00:39
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  • Congratulations on the new thread!

    日本の11月の鉱工業生産では在庫指数(2015年=100)が前年比+5.2%増となり、約7年ぶりの伸び率を回復してきた。あくまでも内外の感染打撃を受けた部材不足などの反動修復が大きいが、漸進的なコロナ共存体制の浸透や供給制約の緩和などもあり、在庫不足の一服と出荷の円滑化、連動する形での生産増加と良い在庫の積み増しという好循環入りが注目されやすい。
    在庫指数は11月に100.4となっており、直近の循環ピークである104−105までは良い在庫増と悪い在庫増移行までの積み上げ余地が残されている。

    「2022年は、これまで下押しとなってきた感染症の影響と供給制約が和らぐもとで、政府の新たな経済対策によるプラス効果も加わるため、日本の景気回復は本格化していく。来年の日本企業はマクロ経済的にみれば、ポスト・コロナに向けて本格的に歩み出すチャンスと言える」。
    日銀の黒田東彦総裁は12月23日、経団連での講演でこのように述べた。
    供給障害や感染打撃の教訓を踏まえたグローバルなサプライチェーン(供給網)の再構築に関しては、「多くの企業が連なるサプライチェーン全体について、デジタル化や脱炭素化を進める場合、『投資が投資を呼ぶ』好循環に繋がる可能性を秘めている」と期待感を示している。

    供給障害については、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス社長)も最新の会見で、「(混乱の一因である)海外のサプライチェーン問題は原因が割とはっきりしており、修復は時間の問題」、「2022年の1−3月期には、供給が需要を上回ってくるものと見込んでいる」という見通しを示した。
    その中で経済産業省による最新11月の鉱工業生産では、在庫指数(2015年=100)が前年比+5.2%と、前月の+2.2%に続いて3カ月連続のプラスになっている。昨年5月以降は景気悪化を受けた在庫調整や、供給制約による在庫積み上げの限界、半導体等の品不足に伴う在庫不足などにより、長期マイナスが続いてきたが、景気循環でいえば「良い在庫積み上げ」の予兆が見られつつある。

    しかも前年比+5.2%とは2015年1月以来、約7年ぶりの高い伸び率だ。経済産業省では「前月までの半導体不足や、アジアでの感染症拡大に伴う部材供給不足などの反動」と分析しており、あくまでテクニカルな短期リバウンドという側面も強い。それでも黒田氏や櫻田氏が指摘するように、漸進的ながらもコロナ共存体制の浸透や供給制約の緩和が進みつつある。来年に向けては、在庫不足の一服と出荷の円滑化、連動する形での生産増加と良い在庫の積み増しという好循環入りが注目されそうだ。

    新変異株を含めた根強いコロナ打撃に関しては、米FRBのパウエル議長が12月15日のFOMC後会見で、「これまでに比べてワクチンが普及してきたことや、経済活動との両立に習熟してきたこと、足元の総需要が強いことなどから、深刻な経済リスクではない」という判断を示唆している。
    ちょうど日本株市場では、鉱工業在庫と相関性のある東証の倉庫・運輸関連業指数が下げ渋りとなってきた。最近では9月17日を高値に反落となり、国内での生産・輸送・在庫の制約や各種コスト高騰が重石となっている。

    しかし、12月1日を底値に下落は一服。まだ反発力は鈍いものの、2020年後半以降の反発基調における重要な下値サポートライン18カ月移動平均線などは維持されたままだ。先行き上値余地の残存と、連動する形での在庫指数の修復余地が示唆されている。在庫指数自体も11月は100.4であり、直近の循環的な在庫上昇ピークの上限104−105までは上昇余地が残されている。
    過去の在庫指数と日経平均株価の関係は、在庫循環面での「良い在庫増加」から、景気減速に伴う「悪い在庫増加」に移行してくるまで株高トレンドが維持延命されてきた。

    最近では在庫指数の前年比が長期マイナスのあと、現在のようにプラス回復した局面に2017年10月があった。当時の日経平均は月間の高値ベースで、同月の2万2086円から12カ月後となる2018年10月の2万4448円まで、+2361円幅の株高トレンドが形成されている。その前では2014年5月から、在庫が前年比でプラス転換となった。日経平均はそこから13カ月後となる2015年6月の高値まで、+6208円幅の株高ラリーが点火されている。

    その点、今回は在庫が9月から前年比プラス転換となってきた。過去の「在庫循環ラリー」に沿えば、1年後となる2022年後半にかけて株高持続の余地がある。ちょうど来年は7月に日本で参院選、10月前後に中国で5年に1度の共産党大会(長期目標や重要人事を決定)、11月に米国で中間選挙といった重要イベントが予定されている。各国の政治要因として、政策的な景気テコ入れや金融市場の安定化努力が意識されやすい。

    11月の鉱工業生産は業種別でも、在庫不足の一服や良い在庫積み増し兆候が散見された。具体的には鉄鋼、非鉄金属、生産用機械、汎用機械、業務用機械、電子部品・デバイス、電気機械、プラスチック製品などだ。先行き供給障害の修復は漸進的ながらも各種コスト高騰の抑制へと波及していくこともあり、こうした業種については、来年にかけて在庫確保と出荷増、生産増の好循環余地が注視される。

    鉱工業生産の全体でも、出荷の前年比を横軸、在庫の前年比を縦軸とした循環図では、2018年以降の出荷減速と悪い在庫積み上がり、出荷減と在庫調整による在庫減、在庫調整の進捗などを受けた出荷復調、供給制約を受けた出荷増に対しての在庫不足、在庫不足などによる出荷伸び悩み、出荷停滞による悪い在庫増といったフェーズを経て、「良い在庫増加と出荷の円滑化修復」という好循環の機運が見られつつある。

    先行き鉱工業生産での生産回復と良い在庫増の残存余地を担保していくのが、設備投資に先行する機械受注の高止まりだ。内閣府・景気動向指数での「先行指標」に含まれる実質機械受注は、最新10月に3883.6億円となった。9月の4611.3億円からは鈍化しているが、コロナ危機前である2019年9月以来の高水準を先行回復している。直近最低である2020年5月の2886.4億円からは、1.35倍の増加となってきた。

    かたや鉱工業生産の生産指数(2015年=100)は、最新11月に97.7となっている。昨年5月の77.2をボトムに回復傾向にあるが、まだ2019年12月の97.9をようやく回復してきた段階と出遅れている。機械受注が水準を先行回復してきた2019年9月に、生産指数は102.4という高い位置にあった。

    過去実績としてこの機械受注と生産指数、日経平均株価は密接な連動相関性を有している。その意味で来年にかけては、生産指数の追随回復と付随した日経平均の上値余地も焦点になりそうだ。

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