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投稿コメント一覧 (63コメント)

  • 日本橋・八重洲地区における一連の大規模再開発プロジェクトのひとつ、日本橋一丁目東地区は、2024年度に着工し、2030年度から2037年度にかけて順次竣工・開業を予定しているようです。

    【日本橋一丁目東地区再開発/A-E街区 最高層は240m】 (2022年9月7日 建設通信新聞配信記事より)

     日本橋一丁目東地区市街地再開発準備組合(東京都中央区)が、同地区第一種市街地再開発事業の環境影響評価書をまとめ、6日から都庁などで縦覧手続きが始まった。A-E街区の規模は総延べ床面積約39万㎡。最高層のビルの高さは約240mとなる。2024年度に着工し、30年度から37年度にかけて竣工した街区から順次オープンする。 施行区域は日本橋1、日本橋本町1、日本橋小網町の各一部の約3.6ha。 街区は日本橋川を挟んで南北に分かれており、 南側計画地はA・B街区、 川を挟んだ北側計画地はC・D・E街区とする。
     A街区には地下4階地上40階建て延べ約27万4000㎡、高さ240mのビルを建てる。オフィスを中心に商業施設や都心型複合MICE(国際的な会議・展示会など)、カンファレンスなどで構成する。
     B街区の規模は地下3階地上52階建て延べ約12万㎡、高さ225m。国際水準の居住施設(国家戦略住宅)や中長期の滞在ニーズに応えるサービスアパートメント、外国人を含む高度金融人材などのための医療・子育て等支援施設が入る。住宅は約670戸を予定している。
     C街区には平屋建て約250㎡、D街区には2階建て延べ約150㎡、E街区には2階建て延べ約250㎡の公共・公益施設を建てる。
     全体工期は約159カ月を予定している。B街区の郵便局を除く既存建物を順次解体・撤去する。先行して新築工事に着手するA街区は30年度の完成を予定している。郵便局を移転後に解体し、B街区の新築工事に入る。B街区は35年度の完成を見込む。
     C・D・E街区は、首都高地下化工事の完了後に新築工事に着手し、37年度に供用する見通しだ。
     環境影響調査などは日本設計が担当した。

  • お江戸日本橋のリバーフロントの賑わいが、時を経てよみがえりそうです。

    【日本橋エリアの再開発計画・建設計画】 (2022年8月29日 Tokyo Best Office 掲載記事より)

    日本橋エリア(東京都中央区)は、2040年にかけて行われる首都高地下化事業とともに、日本橋川周辺の5地区での再開発、オフィスビルや複合施設の建設に向けた動きが進んでいます。
    中央区により策定された「日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン2017」に基づき、周辺5地区が連携し、国際金融・業務拠点や日本橋の水辺景観と歩行者ネットワークの整備などの日本橋川沿いのまちづくりに取り組むとされており、歴史・文化と最先端都市機能が共存する魅力あるエリアに生まれ変わる予定です。

    周辺5地区:日本橋一丁目中地区/室町一丁目地区/日本橋一丁目1・2番地区/日本橋一丁目東地区/八重洲一丁目北地区

    隣接する八重洲エリアで進行中の常盤橋プロジェクト(Tokyo Torch)の再開発も含め、日本橋・八重洲地区は広範囲にわたる大規模再開発エリアとなっています。

  • 2年後には所沢駅西口が素敵なエリアに発展しそうです。周辺に住んでおられる方々心待ちにされていることと思います。

    【西武鉄道ら/清水建設で11月着工/車両工場跡に商業施設】  (2022年8月30日 建設通信新聞配信記事より)

     西武鉄道と住友商事が西武鉄道車両工場跡地(埼玉県所沢市)に計画する商業施設開発の施工者が設計を担当していた清水建設に決まった。11月の着工、2024年6月末の竣工を目指す。
     計画によると、7階建て延べ12万8416㎡、最高高さ37.4mの商業棟、2階建て延べ279㎡の駐輪棟のほか、両施設をつなぐデッキを整備する。商業棟には物販店舗や飲食店、映画館が入る。
     建設地は、所沢駅西口土地区画整理事業3街区と9街区の一部に当たる敷地3万4340㎡。
     車両工場跡地を含む約8.5haを施行区域とする土地区画整理事業は26年3月の完了を目指し、市施行で進めている。総事業費は110億8200万円。
     区域の北東部(施行面積約0.6ha)で実施していた組合施行の再開発は21年6月に竣工した。RC一部S造地下2階地上29階建て延べ3万8532㎡の高層住宅を建設した。

  • 新宿 歌舞伎町に新たなエンタメスポットが誕生ですね。超ハッピーな一日を過ごせる場所になりそう。

    【東急歌舞伎町タワー 4階にソニーの次世代型体験施設 東急、東急レクリエーション】   (2022年9月1日 建設通信新聞配信記事より)

     東急と東急レクリエーションは、東京・新宿歌舞伎町に建設している「東急歌舞伎町タワー」の主要大型テナントを決めた。ソニー・ミュージックエンタテインメントとソニー・ミュージックソリューションズが4階部分にテクノロジーとエンターテインメントを掛け合わせた次世代型アトラクション体験施設を設置する。このほか、新宿MILANO05が5階に「美と健康」をテーマにしたウェルネスエンターテインメント施設を設ける。
     1-5階は店舗になる予定で、2階には浜倉的商店製作所のエンターテインメントフードホール、3階はバンダイナムコアミューズメントがアミューズメントコンプレックスを開業する。
     東急歌舞伎町タワーは、地下5階地上48階建て塔屋1層延べ8万7400㎡。6-8階は劇場、9-10階は映画館、17階以上はホテルとレストランが入居する。設計は久米設計・東急設計コンサルタントJV、外装デザインは永山祐子建築設計、施工は清水建設・東急建設JVが担当している。2023年1月の竣工、同年4月の開業を目指している。

  • AI技術の活用により、トンネル工事の掘削計画から施工操作まで自動化する技術。熟練技術者の経験知を次世代に伝承する観点からも、大いに活用が期待されます。日本国内はもとより、ジャカルタやマニラ等で進められている地下鉄工事現場でも、この技術が活躍するのでしょうか。

    【清水建設が開発。世界初のトンネル構築システムがスゴイ  先端技術・熟練工の経験知融合】     (日刊工業新聞 2021年7月20日配信記事より)

    清水建設は人工知能(AI)を活用することで、シールドマシンによるトンネル工事の掘進計画の策定から施工操作までの作業を自動化した。建設業界では少子高齢化に伴い、熟練技能労働者の大量離職が予想されている。最先端技術と定量化した熟練工の経験知を融合し省人化を図りながら、品質確保や技術の伝承を目指す。
    シールド工法は、トンネルサイズに合わせ大型機械で削り進む工法。道路・鉄道工事などで採用されている。先端のシールド掘削機を回転させながら複数のジャッキを押し出し掘り進み、後方にセグメント(リング状のコンクリート壁面)を連続的に構築していく。
    清水建設が開発した次世代型トンネル構築システム「シミズ・シールドAI」は、AIの支援によりシールド掘進の計画策定から操作までを自動化・無人化した世界で初めての技術。今秋、関西の雨水放水路シールド工事で初めて適用する。
    計画支援では、シールド工事着工前に技術者が計画する掘進シミュレーションをAIが行う。名古屋工業大学と共同開発した同技術は、測量データを基にAIがトンネル線形に応じたシールド機操作の計画値、セグメントの配置計画を導き、シールドマシンの運転方法と複数のセグメントの割り付けを事前にシミュレーションし計画値を設定する。

    10分で処理
    重要なのが曲線部の計画策定。人の手では難しく本機の破損にもつながるシールドマシンと地山やセグメントの隙間(クリアランス)に関する計画策定もAI活用で実現した。70のセグメントを割り付けた場合、熟練技能者では約2日間を要するが、AIは約10分で3次元(3D)モデルとして可視化した形で処理する。開発リーダーの関西支店工事長の増田湖一(ひろいち)氏は「AIは教えないことはやらない。我々がしっかりしたストーリーを持たなければならない。シールドの膨大なデータから何を条件にすればよいのか、間違えると期待する答えが出てこない点に留意した」という。

    無人施工が可能
    施工操作支援では、AIがジャッキの選択を行い無人施工が可能になった。熟練工の経験値を定量化したデータを基にシールド機の操作を補助し、自動運転で掘進する。人はモニターで監視するだけ。開発の責任者は「生産性向上が喫緊の課題。自動化をしたシールド工法を全ての工事で展開したい」(土木技術本部シールド統括部シールド技術グループ長の青山哲也氏)という。今後は複数現場を遠隔監視するシステムを構築し鉄道用トンネルの需要が高まるアジア地域での受注拡大を目指す。(編集委員・山下哲二)

  • インドネシア ジャカルタの渋滞解消の切り札ともいえる都市鉄道建設にあたって、これまでの長年にわたる実績の積み重ねとそれに基づく建設技術に対する信頼感が評価されているのだと思います。

    【ジャカルタMRT南北線2期/地下工区「CP202」受注/清水建設】  (2022年9月2日 建設通信新聞配信記事より)

     清水建設は、インドネシアの国営建設会社・アディカリヤ社とのJVでジャカルタ都市高速鉄道(MRT)南北線2期工事のうち、ハルモニ駅からマンガブサール駅までの長さ1840mの地下工区「CP202」(発注者=MRTジャカルタ社)を受注した。工期は約89カ月間。2029年の開通を目指す。
     地下2層・長さ235mのハルモニ駅、地下4層・長さ200mのサワブサール駅、地下4層・長さ220mのマンガブサール駅の地下駅舎3駅の建設と、長さ1184m、仕上がり内径6.05mの駅間を結ぶシールドトンネル4本(2区間×上下線)の整備を進める。
     交通量の多い幹線道路の直下を開削して大規模な地下駅舎を構築する。走行レーンを何度も切り回しながら工事を進めるだけでなく、幹線道路の中央を流れる運河の一部覆工も必要となる。近接する建物や地下埋設管など周辺への影響を十分に考慮した施工計画が求められる高難度の都市土木工事になるという。
     ジャカルタMRTは、中央ジャカルタと南ジャカルタを結ぶ長さ15.7㎞の1期工事区間が19年3月に開通。6工区に分けて発注された1期工事のうち、清水建設はJVの幹事企業として2工区、構成企業として1工区の計3工区の建設を担当した。
     2期工事は、既に開通している区間の北端にあるブンデランHI駅からジャカルタ北部のコタ地区に伸びる長さ約6㎞の地下鉄路線を建設する。全3工区のうち、清水建設JVは初弾工事として20年3月に発注された「CP201」(長さ2676m)を受注していた。新たに受注した「CP202」工区は隣接工区となる。

  • >>No. 30

    > > 明日からエスロジ福岡が運営開始! 
       立地的にドル箱間違いなし!

    > 福岡の天神ビッグバン構想の一環で進められている「福岡大名ガーデンシティ プロジェクト」も、間もなく竣工のようです。空港からのアクセスの良さ 日本一を誇る博多が今熱い。


    JR博多駅の在来線線路をまたいで12階建てのビルを新たに建設する「博多駅空中都市構想」、いよいよ実現に向けて進み始めたようです。2028年度に竣工(予定)した折には、周辺で目白押しの再開発プロジェクトにとともに、博多のシンボル的な施設のひとつとして衆目を集めること間違いなし。


    【博多駅「空中都市」28年完成 列車眺める高級ホテルも】  (2022年3月16日 日本経済新聞配信記事より)

    JR博多駅南側の在来線の下をにぎわい空間にする(イメージ、同社提供)
    JR九州は16日、JR博多駅(福岡市)の在来線上に新たな複合ビルを建設する「博多駅空中都市プロジェクト」について、2028年末の完成を目指すと発表した。商業施設やオフィス、高級ホテルを誘致し、九州の玄関口である博多駅の機能強化につなげる。
    博多駅ビル(JR博多シティ)南側の約5200平方メートルの敷地面積に地下1階、地上12階建てのビルを建設する。福岡市の再開発促進策「博多コネクティッド」の対象地区で、容積率緩和などの優遇措置が受けられる見通し。ビルの高さは60メートルを目指す。投資額は数百億円を見込む。
    23年度に着工し、2階部分を在来線の線路が通る構造とする。低層階に商業施設や広場を設け、3~8階をオフィス、9階以上をホテルとする計画。
    記者会見した青柳俊彦社長は「福岡が世界に選ばれる都市となるためのランドマークをつくる」と意気込みを語った。
    賃貸するオフィスはワンフロア当たりの面積が3300平方メートルと、博多駅周辺では最大規模。ホテルは外資系高級ブランドを軸に誘致し、列車の往来を間近に見られることを売りとする。
    現在の線路の下は盛り土となっており、高架橋に線路を敷くことで、線路下の空間も活用できるようになる。1日約800本が運行しているが、原則列車を止めずに深夜時間帯などに工事を進める。青柳社長は「長期間にわたる非常に難しい工事になる」と述べた。
    プロジェクトは19年に「博多駅空中都市構想」として公表したが、新型コロナウイルス禍による業績悪化を受け、計画を見直していた。22年9月の西九州新幹線の部分開業や、23年3月の福岡市地下鉄七隈線の博多駅乗り入れなどを踏まえ、コロナ禍からの回復に向けた「グループの中心プロジェクト」(青柳社長)として進める必要があると判断した。

  • >>No. 26

    > 明日からエスロジ福岡が運営開始! 
    > 立地的にドル箱間違いなし!


    福岡の天神ビッグバン構想の一環で進められている「福岡大名ガーデンシティ プロジェクト」も、間もなく竣工のようです。空港からのアクセスの良さ 日本一を誇る博多が今熱い。

    【福岡・天神の小学校跡地に25階建ての複合施設 高層階には「ザ・リッツ・カールトン福岡」が開業  福岡大名ガーデンシティ】 (2022年4月25日 ITmedia配信記事より)

     積水ハウスと西日本鉄道などの5社が福岡市で進める「旧大名小学校跡地活用事業」について、施設名称を「福岡大名ガーデンシティ」に決定したと発表した。同事業は、民間ビルの建替えを促進し、福岡市の天神地区に新たな空間と雇用を創出する「天神ビッグバン」の一環。2019年7月に着工し、22年12月末に竣工、23年春にホテルを開業する。
     「福岡大名ガーデンシティ」という名称には、緑豊かな広場と広場を取り囲む緑の空間を、誰もが気軽に利用できる施設にするという思いを込めたという。ロゴは施設の外観をモチーフとし、全体の造形をストライプの集合体として構成。ラインはマーク下部から上部に向けて太さの抑揚を変え、次代への上昇と発展、福岡大名から世界への発信をイメージした。
     同施設は、地下1階、地上25階建て。約3000平方メートルの広場や公民館・老人いこいの家、消防分団車庫といった公共施設と、オフィスやザ・リッツ・カールトン ホテルといった民間施設を配置する。
     九州初のラグジュアリーホテルとなる 「ザ・リッツ・カールトン ホテル」は、全162室のゲストルームのほか、6つのレストランやバーを提供する予定。また、ビジネス向けの会議室や、特別なイベントに向けたボールルーム(舞踏室)、チャペルも完備する。
     また、総面積約3万平方メートルのオフィスやコワーキングスペース、イベントホールなどを配置する。旧大名小学校南校舎に構えるスタートアップ支援施設と連携し、企業の創業や成長および人材の育成に適した環境を提供する。

  • > あのロシア大使館の建設いつまでやってるのかな、、大規模過ぎてやばいよね。。

    ロシア大使館の対面で進められている大規模な再開発事業、来年の3月に竣工の予定のようです。メインタワーは、常盤橋のトーチタワーが完成するまでのしばらくの間、日本一の高さのビルということになりますね。

    【虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業】  (skyskyskyネット 掲載記事より)

    森ビル及び日本郵便が参画する虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合は、東京都港区虎ノ門5丁目、麻布台1丁目及び六本木3丁目各地内に下記の超高層ビルを新設します。

    A街区(メインタワー)… 地上64階、地下5階、高さ325.20m、延べ461,773㎡
    B-1街区(西棟)……… 地上64階、地下5階、高さ262.83m、延べ185,228㎡
    B-2街区(東棟)……… 地上54階、地下5階、高さ237.20m、延べ169,072㎡

    このほかC街区に3~8階建ての建物4棟を建設します。 総延べ面積は約86万㎡。 設計は森ビル、施工はA街区とB-2街区が清水建設、B-1街区が三井住友建設、C街区が大林組。 2023年3月末に竣工する予定です。

  • 医療サービス分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にあたって、建設分野が果たすべき大きな役割を具体的に示す好例かと思います。

    【地域全体のスマート・ホスピタル構想を実現へ ~GEヘルスケアと清水建設、淡海医療センターで医療現場の生産性向上に向けた協業を開始】
    (2022年5月24日 GEヘルスケアジャパン発表記事)

    GEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長兼CEO:多田荘一郎、以下GEヘルスケア)と清水建設株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:井上和幸、以下清水建設)はこのほど、病院運営と施設運営の両面からDXを追求したスマート・ホスピタルの構築に向けて協業することに合意しました。第一弾として、GEヘルスケアと社会医療法人誠光会 淡海医療センター(滋賀県草津市、理事長:北野博也、以下淡海医療センター)が協働にて国内版の導入を行った日本初の「コマンドセンター」と清水建設の建物OS「DX‐Core」のデータ連携を図り、「医療サービスの質向上」「医療従事者の業務効率化」「患者の利便性向上」に向けたサービスの提供に取り組みます。
    超高齢化が進む日本では、適正な医療を効率的に提供する体制を整えることを目的とする『地域医療構想』の実現に向けた動きが活発化しています。地域医療構想とは、地域に存在するそれぞれの病院が担当する医療機能を選択し、この機能を持ち寄ることで地域全体の医療を完結させることを目指す取り組みです。三者は、この取り組みを実現する為の病院運営と施設運営のデータ連携によるDXに挑戦することを決定しました。
    淡海医療センターで展開するデータ連携のプラットフォームは、データドリブンの病院運営を支援するコマンドセンターです。昨年4月から稼働しているコマンドセンターでは、医療情報システムから収集する電子カルテなどのデータをリアルタイムに分析することにより、病床の稼働状況やスタッフの業務を画面上で見える化し、病床の割り当てやスタッフ配置などの迅速な意思決定を支援しています。
    協業のフェーズⅠは事前準備であり、淡海医療センターの既設設備機器を集中監視するプラットフォームをDX‐Coreにより構築し、コマンドセンターとのデータ連携を図るとともに、病院運営の効率化に向けた課題を抽出。今後のフェーズⅡでは、両システムのデータ連携実証を行います。例えば、DX‐Coreが監視カメラ画像から院内の混雑具合を判断しコマンドセンターがスタッフの配置変更を提案、或いはコマンドセンターが新規入院患者の受入病棟を割り当てたら、DX-Coreが制御する案内ロボットが患者を当該病棟まで案内、といった実証です。最終的にはフェーズⅢとして、フェーズⅡでの実証成果を踏まえ、地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム(滋賀県草津市)に加盟する31法人99施設を対象に、コマンドセンターとDX-Coreを連携させたシステムの展開を目指します。

    ≪社会医療法人誠光会理事長 北野博也≫
    「現在、誠光会では医療の質向上や医療従事者の働き方改革を目的とした様々な取り組みに着手しています。これらの取り組みにデジタル化は必要不可欠となっていますが、私たちは、単に業務の効率化を図るだけでなく、患者さんに対する新しい価値を創造するためにデジタル化を推し進めていきたいと考えています。すなわち、これまで蓄積されてきた膨大な医療関連データの活用や医療従事者と患者さんとの双方向コミュニケーションの強化など、所謂スマート・ホスピタルを目指した取り組みを加速させていきます。今回、清水建設様とGEヘルスケア様という強力なサポーターを得たことで私たちの将来構想の実現可能性が大きく高まったと考えています。」

    ≪GEヘルスケア・ジャパン㈱代表取締役社長兼CEO多田荘一郎≫
    「新型コロナウイルス感染症の蔓延も含め刻一刻と患者さんの症状が変わるという状況の中で、これまで以上にリアルタイムの状況把握と適切な需要予測に基づいたキャパシティ管理(医療資源の分配)が求められています。長年にわたる誠光会様との共創を通じて、昨年4月には淡海医療センター様にてコマンドセンターの稼働が開始しました。人の稼働効率を含む医療資源の分配において目覚ましい成果が出ていることからも、稼働を単独施設に限定せずに、地域全体に拡大し運営していくことで、地域における医療連携に貢献できると確信しています。清水建設様とも新たに連携し、誠光会様とこれまで築いてきた共創を深化拡大させ、課題解決に取り組んでまいります。」

    ≪清水建設株式会社㈱代表取締役社長 井上和幸≫
    「リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術により、ものづくりをデジタルで行い、リアルな空間とデジタルな空間・サービスを提供する建設会社を「デジタルゼネコン」と定義し、当社が目指すゼネコン像としています。DX‐Coreはデジタルな空間・サービスを提供する技術の代表格で、すでにオフィスビルを中心に採用が進んでおり、お客様に喜ばれています。誠光会様、GEヘルスケア様との協業により培った知見を展開させていただくことで医療施設へのDX‐Coreの採用が進み、医療サービスの質向上や業務効率化に寄与することを祈念しております。」

    ■医療現場の現状
    日本では現在、全就労人口の約13%が医療や介護に従事しているとされ、超高齢化と労働人口の減少が進む中で既存の医療提供体制を維持しようとすると、その割合は約2割に増加すると試算されている。ただし、医療・介護従事者の人材確保は困難で、十分な医療・介護サービスの提供が難しくなることが懸念されている。

    ■GEヘルスケアと清水建設の協業に関する補足
    GEヘルスケアがこれまで医療機関に提供してきたデータ分析・運営改善支援サービス「Brilliant Hospital」、関連するコンサルティング実務を提供することで院内の改善サポートを手掛け、清水建設は、「DX-Core」を通じて医療施設内の設備の情報を集約するためのプラットフォームを提供。両システムをデータ連携させることで、医療施設全体のデジタル化による予見性の高い分析能力の強化、運営全体の効率化・最適化を図り、最終的には医療の生産性向上およびアウトカムに寄与するスマート・ホスピタルの構築を目指す。将来的には新築・改築案件を対象に、“トータルプロデュースサービス”として、設計から施工〜医療システム〜機器最適配置、運用モデルまでデジタルサービスを基軸とした共同提案を目指す。

    ■フェーズⅠの補足
    コマンドセンターは、電子カルテをはじめとする各種院内情報システムに紐づくデータを統合し、リアルタイムで分析・可視化を行うことにより、患者へのケアに必要なリソースを効率的に配分し、必要なケアをタイムリーに提供するための意思決定を促す中央集中管制塔としての役割を果たす。昨年4月に淡海医療センターにて稼働を開始したコマンドセンターは、病床稼働管理および入退院フローの最適化を支援することを目的とする。両者の協業により、今年の6月下旬から地域医療連携推進法人 湖南メディカル・コンソーシアム加盟の31法人99施設の連携に向けた取り組みを両者で展開する。複数の施設がコマンドセンターを利用することで、それぞれの病院の空床状態や数日先の入退院の情報をタイムリーに互いが把握することで、各施設における医療機能が最大限に発揮されることが期待される。

    ■GEヘルスケアの医療機関向けサービス
    2016年のBrilliant Hospital構想の発表より医療機関向けのデータ分析・運営改善支援コンサルティングサービスを提供し、2020年にはデジタル・AIソリューションの開発・提供に取り組むEdison Solution本部を立ち上げ、これまで蓄積してきた医療施設の生産性向上を目指す支援の見地やノウハウを基にAIサービスの開発にも注力。2021年にはコマンドセンターの提供を日本でも開始し、リアルタイムの分析による即時性と予見性を基に院内オペレーションの効率化・最適化支援を展開。

    ■清水建設の医療機関向けサービス
    病院の設計・施工にとどまらず、経営戦略の策定から運営サポート業務にいたるまで病院経営を支援。また、総合建設業で唯一のシステムインテグレータとして20年にわたり、延べ200棟以上の施設の情報インフラを構築。これらの経験を基に、2020年10月より建物オペレーティングシステム「DX‐Core」の提供を開始し、医療施設においても運営システムと建物制御が容易に連携できるサービスの開発を進めてきた。

    ■地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム(滋賀県草津市)
    大津市、草津市、栗東市、守山市、野洲市域において、滋賀県が進める地域医療構想と地域包括ケアシステムの実現及び、切れ目のない医療・介護サービスを将来にわたって安定的に提供することを目指すコンソーシアム(代表理事 吉川隆一)。

    ■淡海医療センター
    名 称:社会医療法人誠光会 淡海医療センター
    所 在 地:滋賀県草津市矢橋町1660 TEL.077-563-8866(代表)
    病 院 長:古家大祐
    施設規模:建築面積10,214.59m²、延床面積49,619.41m²
         許可病床数420床(ICU8床・HCU8床・急性期346床・回復期58床)

  • 日頃何気なく利用している病院ですが、看護師の動線やスタッフ間のコミュニケーションを考慮した病棟設計の工夫による働き方改革や、ひいては医療の質の向上を目指す取り組みが行われる時代になってきているのですね。安全、安心で快適な暮らしの実現に向けた、建築分野におけるチャレンジに大いに期待を感じます。

    【看護動線の最適化とコミュニケーションの活性化で医療の質の向上につなげる】           (8月23日清水建設HP掲載資料より)

    2040年には、日本の高齢者人口がピークとなる一方、労働生産人口は急減すると予測されています。医療の現場においては、看護師をはじめとした医療を支える人財不足の深刻化により、生産性の向上がますます求められています。
    「看護動線の最適化」や、「スタッフ間コミュニケーションの活性化」によって、建物の側面から医療の質の向上を目指したシミズの病院づくりの事例を紹介します。

    看護動線の最適化で運営効率と働きやすさを確保
    近年、病院の建て替えでは、8床室や6床室などの大部屋の解消や個室の増加といった療養環境の向上に伴って病棟フロアの面積が拡大しており、看護師の移動距離が長くなっています。個室は感染制御に有効なため、今後さらに増えるものと考えられます。また、高齢化に伴い患者の重症化、複雑化が進むことで、看護師の業務負担はさらに増大すると予想されます。
    一般的に、看護師は病棟内を1日当たり約3~5kmの長い距離を移動しており、業務の効率化を図るためには看護動線の短縮が重要です。
    看護師の動きは、看護方式、病棟運営などの病棟マネジメントによって異なるため、それと整合した病棟プランが求められます。

    看護業務の効率化を支援する「看護動線シミュレーションシステム*3」を開発
    シミズは、各病院の病棟マネジメントに沿った動線の短い最適な病棟プランを検討するために、「看護動線シミュレーションシステム*3」を開発しました。 これは、独自調査データに基づく病棟看護師の1日の業務モデルを使って、病棟プラン上に看護師の動きをシミュレーションし、総移動距離を算出するものです。 その結果を基に検討を行い、看護動線の短い効率的で働きやすい病棟プランを作成します。
    *3:特許出願中

    よく目が届き、看護動線の短い全室個室病棟(トリプルクロス病棟®)を実現した「川西市立総合医療センター」
    今年5月に竣工した当社設計施工の川西市立総合医療センターは、市立川西病院と協立病院を移転統合した、全病室が個室の病院です。
     提案時に「看護動線シミュレーションシステム*3」の結果を基に病棟をプランニングし、「トリプルクロス病棟®」を計画しました。これは、二つの患者用クロス廊下とスタッフ用クロス廊下を組み合わせた、患者を観察しやすく動線の短い病棟プランで、全室個室であっても看護師1日1人当たりの総看護動線距離を3km以下に短縮することができました。
    設計段階において二つの既存病院で調査を実施し、実際の看護業務モデルを使ったシミュレーションに基づいてプランを調整しました。さらに、統合前は2病院の病棟マネジメントが異なっていたため、両病院の看護部長は、新病院の病棟運営を検討する際にこのシミュレーションを活用しました。

    スタッフ間のコミュニケーションを活性化する環境づくりでチーム医療を強化
    生産性向上に重要なチーム医療の強化には、職種を超えたスタッフ間のコミュニケーションの活性化が必須です。休憩や情報交換の場となるスタッフエリアに、コミュニケーションを自然に誘発する仕掛けを盛り込むことは効果的です。

    「スタッフコミュニケーションコア」を設置し、多様なコミュニケーションを誘発する「海老名総合病院新棟」
    2023年4月に竣工予定の神奈川県の海老名総合病院新棟では、三角形状のフロアに3病棟を配置し、それぞれのスタッフステーションをトライアングルの角に設けた「スーパートライアングル病棟」を採用。フロアの中心には3病棟のスタッフが共用できる「スタッフコミュニケーションコア」を設置しました。
    「スタッフコミュニケーションコア」は、3病棟のカンファレンスルーム、休憩室、スタッフが利用できるラウンジを集約して設けたスタッフ専用スペースです。普段は大人数でのカンファレンスも行えるようなオープンな空間とし、必要時には可動間仕切りで病棟ごとのカンファレンスや休憩室として利用することが可能です。
    さらに、3フロアにわたる各階の病棟の「スタッフコミュニケーションコア」を専用階段でつなぎ、すべての病棟スタッフが行き来しやすい計画としました。

    働き方改革を後押しする病院づくりを提案します
    働き方改革の進む病院づくりでは、療養環境の安全性や快適性はもちろん、スタッフの業務効率や働きやすさといった観点も重要度を増していきます。シミズは、長年培ってきた病院建築や病棟運営のノウハウを活用し、チーム医療を支え、働き方改革を後押しする、働くスタッフにとって魅力的な環境づくりを提案していきます。

  • 「非建設」事業にも力を入れて、時代のニーズを先取りする企業であろうとする社長の強い思いがにじむインタビュー記事。ざっと目を通す価値はあるかと思います。

    【洋上風力に宇宙 清水建設が「非建設」分野を強化する理由は? 井上社長に聞いた】          (6月14日 IT Media ビジネス配信記事より)

     都心では再開発が続いている。建設業界にとっては、いまはオフィスの建設が事業の柱となっている一方、コロナ禍によって在宅ワークが増えていて、その需要も近い将来に頭打ちになる可能性がある。  これを見越して清水建設は、洋上風力発電や宇宙といった「非建設」分野の事業を強化し、将来の稼ぐ柱を育てようとしている。  未来に向けて布石を打とうとする井上和幸社長に、狙いを聞いた。(中西享、アイティメディア今野大一)

    「非建設」事業を育てる
    ――中期経営ビジョンでは、本業の建設ではない「非建設」事業の割合を、現在の10%から35%に大幅に伸ばすことにしています。狙いは。  
    いま大都市圏では大型の再開発や物流施設、データセンターなど仕事はたくさんあります。当面、底堅い建設需要が見込まれますが、未来永劫続くかというと、そんな保証はありません。  仕事が減って競争が厳しくなると、どうしても建設事業の利益率は低くなるので、非建設業で稼ぐという発想が出てきたのです。
    ――具体的にはどんな事業ですか?  
    不動産投資開発、エンジニアリング、まだまだ初期段階ですが施設やインフラの価値を最大化してレベルの高い技術やサービスを提供する「LCV」などの事業量を増やします。それとともに、徐々にですが宇宙開発や海洋開発にも取り組んでいきたいと思います。  投資開発の事例としては、東京の豊洲でやっている大規模開発があります。単に建設するだけでなく、デベロッパーとして自社で投資し、より付加価値の高いものを提供しようとしています。  豊洲ではスマートシティー化に取り組みました。投資開発事業もこれまで苦労してきましたが、一本立ちして利益が出るようになっているので、これを増やしていきたいと思います。
    ――洋上風力発電施設の施工に使われる船の建造も進めています。いつごろ完成する計画ですか。  
    建造中のSEP船の完成は今年の10月を予定しています。  当社は、陸上風力発電の施工では業界で一番の実績があり、そのノウハウを生かせる洋上風力発電施設の施工に打って出るために、大型風車を据え付けするためのSEP船を自社で所有することにしました。  SEP船はすでに大型クレーンなどの装着を終え、外観的には完成したように見える段階になっています。規模やクレーンの揚重能力は世界有数です。日本国内だけでなく、海外でもSEP船に活躍してもらおうと考えています。  国内の洋上風力発電の建設マーケットは、EPCの仕事(設計エンジニアリング:Engineering、調達:Procurement、建設:Construction)だけでも5兆円規模になります。このマーケットではトップシェアを取りたいと思います。  現在、洋上風力発電は1基の発電能力は4MW(メガワット)程度ですが、これが10MW超となり、風車が巨大化していきます。  先日、建造中のSEP船を見学しましたが、あまりの大きさに驚きました。わが社のSEP船は15MWの風車を据え付けられる大型クレーンを搭載しているうえ、自航式なので、かなりの競争力があると思い、期待しています。

    宇宙企業に出資 売上高の海外比率を高める
    ――宇宙分野への進出も考えて、いくつかの会社に出資もしています。  
    1980年代に宇宙開発室を設置し、そのころから月の利用などに目を向けた研究を続けてきました。当時は大型ロケットの時代でしたが、この数年は民間でも小型ロケットを飛ばせるようになってきましたし、衛星から取得した各種データを活用するビジネスも散見されるようになっています。  そこでキヤノン電子などと一緒にロケット開発会社「スペースワン」を設立し、和歌山県の串本にロケット発射場を建設しました。コロナ禍で少しスケジュールが遅れているものの、遅くとも来年3月までには1号機をここから発射する計画です。  宇宙関連の事業を形にしていくために、衛星から取得した位置情報データを提供する「シンスペクティブ」という会社や宇宙ごみの回収をする「アストロスケール」にも出資しています。40年近く前に見始めた夢が、夢ではなく現実になりつつあるのです。
    ――海外での売り上げ比率も引き上げる計画のようですね。  
    海外で注力している市場は東南アジアで、これまで多くの超高層ビルや地下鉄などを手掛けてきました。地下鉄については、シンガポール、インドネシア、ベトナム、インドで施工実績があります。  直近ではマニラ地下鉄を施工中で、日本のゼネコンの中ではトップクラスと自負しています。東南アジアの次は、アフリカも可能性があります。現状ではODA(政府開発援助)が中心ですが、将来的には大きなマーケットになる可能性があり、先取りしていきたいと思います。  ただ、商慣習の違いなど日本国内にはない海外独特のリスクもあるので、そのあたりをよく見極めながら海外比率を高めていきたいと思います。また、直轄にこだわってきた面がある海外の工事を、今後は現地化していかなければなりません。
    ――脱炭素に向けた取り組みはどのように進めていますか。  2050年のカーボンニュートラルに向けて、できることから積極的にやっていくしかありません。政府が目標を決めましたが、エンジンとなるのは民間なので、政府には民間が脱炭素に取り組みやすくなる環境整備を期待しています。  われわれも微力ながら、水素製造プラントの建設や、二酸化炭素(CO2)を回収するコンクリートの開発などを進めています。消費エネルギーをゼロにする建物「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)」の普及にも努めていますが、顧客に対してCO2の削減効果と建設に要する費用の関係などを、分かりやすく説明していく必要があります。  昨春、竣工した当社北陸支店の社屋はZEBになっていて、お客さまを中心に多くの見学者を受け入れています。こうしたものが広がっていけば、日本全体のCO2の排出量削減にもつながります。

    なかなか増えない女性管理職
    ――管理職の女性比率が低いようですが、どのように対応しますか。  
    女性の管理職を増やす必要性は認識しています。また、管理職を増やすだけでなく、女性の活躍をより推進していこうと思って、いろいろな手だてをしています。  女性の総合職を採り始めたのが2008年度からです。その年の採用数に占める女性比率は約10%でしたが、いまでは約30%になっています。  あと1、2年すると管理職になる女性が徐々に増えてくると思います。いまの女性の管理職比率は3.1%にすぎませんが、それでもよく3%になったと思っています。  今後はこの比率を一層高めて、まずはなるべく早く10%にすることを目指します。女性の活躍は、男性が育児などに理解を示さないとだめだと思います。男性が育児を手伝わないと、女性は退職してしまいます。
    ――その対策として男性社員に「産休」をとってもらう「パタニティ休業」制度を導入したようですね。  
    パタニティ(Paternity)とは、「父性」を意味する英語で、略してパタ休と呼んでいます。男性の育児参加を促すための、有給で休める制度であり、昨年10月に導入しました。  これまでも、男女を問わず利用できる育児休業制度がありましたが、取得率100%の女性に対し、男性はつい3年前まで5%にも満たない状況だったため、取得する側にも、させる側にも啓発が必要でした。  育児休業の取得実績は19年度が5%未満、20年度が18.5%で、10月からパタニティ休業制度を導入した今年度は、対象者の半数近くがパタニティ休業か育児休業を取得しているそうです。休みを取る社員が大幅に増えたのは喜ばしいことです。これは100%取ってほしいですね。  こうした制度も含めて、女性が休暇を取得することがキャリアパスのマイナスにならないようにするなど、女性社員にとって働きやすい職場に変えていきたいと思います。  昨年4月には、やっと女性の執行役員が1人誕生しました。
    「誠心誠意」と「熟慮断行」
    ――ビジネスリーダーとしての経営信条を聞かせてください。  
    座右の銘は、「誠心誠意」と「熟慮断行」です。「熟慮断行」は学生時代の恩師に言われた言葉で、実行に移すときは勇気が要ります。いろんなリスクを考え抜いて決めることが経営者としては大事だと思います。  「誠心誠意」は、当社の初代経営者、清水喜助の時代から会社の基本的な考え方として根付いていることです。モノづくりの現場では、ごまかすことはご法度です。現場でものづくりをしているのは人間なので間違えることもあります。ただし、間違えた時こそ誠心誠意を以て対応しなければならないのです。
    ――会社に入ってからの失敗談を聞かせてください。
     新入社員として最初に配属された現場で、4階建ての建物の外壁塗装が終わった時の話です。足場を解体して、西日(にしび)が外壁に当たったら壁の表面が波打っていることが判明し、上司から「これは清水の仕事ではない。やり直せ」と厳しくしかられました。  再度、足場を組んで塗装の吹付をやり直したことが印象深いですね。  こうした不具合にはしっかり対応することが大切で、その姿勢によりお客さまの信用を得ることができるのです。

  • この会社の社長インタビュー記事です。現場のデジタル化、現場を支える周辺業務のデジタル化、そしてそこで暮らす人々の生活を支えるデジタル化といったさまざまな観点から、建設分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する姿勢に、次世代の建設産業を先導する意気込みを感じました。

    【清水建設の井上社長「利益率をより重視」 デジタルゼネコンで「豊作貧乏」を打開】   (6月12日 IT media ビジネスオンライン配信記事より)

     大規模ビルの建設がめじろおしとなった都心の再開発ラッシュなど、この数年は仕事には恵まれてきたゼネコン業界。 ただ、コロナ禍の影響により、肝心の利益率が低くなり、「豊作貧乏」の傾向も見えてきた。そうした状況を打開しようとしているのが清水建設の井上和幸社長だ。ポストコロナを見据えながらDXを武器に、利益率をより重視した経営に舵を切ろうとしている。  井上社長に今後の事業戦略を聞いた。(中西享、アイティメディア今野大一)

    人間とロボットのコラボ
    ――ロシアによるウクライナ侵攻の影響は出ていますか。
     従前から半導体が不足したり、物流コストが上昇するなか、ロシアのウクライナ侵攻による混乱が拍車を掛け、全体的に建設資材の価格が上がってきています。工事利益への影響が懸念されるので、物価を注視する必要があります。
    ――デジタルゼネコンを標榜(ひょうぼう)しています。これはどういうイメージを描いているのでしょうか。
     デジタルゼネコンには3つの大きな要素があります。1つ目は「現場のモノづくりや管理をデジタル化していく」という考え方。2つ目は「モノづくりの現場を支える周辺業務をデジタル化していく」こと。3つ目は「デジタルな空間、サービスを提供していく」ということです。この3つの要素を総合的に推し進めていこうと考えています。
    ――建設現場にロボットを積極的に導入しようとしています。その狙いは何ですか。
     発想としては、人間がやっている仕事を全てロボットに置き換えるのではなく、人間とロボットとのコラボレーションの中で、苦渋な作業や繰り返しの単純作業などをロボットに代替させようということです。  作業の安全性向上や効率化、省人化にもつながり、ヒューマンエラーも減ります。これが現場にロボット導入を進めている理由です。  建設業は、今も多くの職人が現場で働いている労働集約型の産業です。これからは職人と一緒にロボットも活躍するようになると思います。(建築物や土木構造物のライフサイクルで、そのデータを構築管理するための工程)BIMとのデータ連動のもと、デジタルな管理をベースに最先端のロボットが活躍できるようになってほしいです。  他産業の工場内の組み立てラインにいるロボットは、同じ場所で同じ作業をしていればいいのですが、建設ロボットは現場で自分の位置を認識して周辺の環境を見ながら移動し、作業しなければなりません。  ただし、複雑な作業をする建設ロボットの開発には多額の投資が伴います。ですから、単純な作業を代替するロボットを開発し、職人が複雑な作業を担う。こうしたコラボをイメージしています。
    ――現場にロボットを導入することで、いま使っているマンパワーを、どの程度、削減できますか。  
    例えば、鉄骨柱の溶接ロボットは必要な作業員の数を半分に減らせます。資材の搬送ロボットに至っては80%の省人化が可能です。こうしたロボットをもっと増やして、省人化に関するデータを収集していきたいと思います。

    作業員の処遇を改善 キャリアアップシステム導入へ
    ――この数年は建設業の労働者数の減少が目立ちます。どんな対策を考えていますか。
     建設業の労働者、現場で働く技能労働者を含めてトータルで減ってきています。4、5年前に日本建設業連合会(日建連)が試算したところ、その時点で約350万人いた技能労働者が、10年後には220万~230万人に減るという予想結果が出ました。この数字には衝撃を受けました。  建設業に入ってくる若い人は非常に少ないので、若者が注目してくれるような魅力のある産業にしていかなければなりません。国土交通省も危機感を抱いていて、現場の処遇改善にむけて、日建連の諸活動を支援してくれています。  例えば、週休2日を前提にした工期設定もそうですし、設計労務単価と呼ばれる作業員さんの日給の額も10年連続で引き上げてくれています。また、作業員の処遇改善につながる建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入も推進しています。
    ――CCUSとはどんなものですか?
     IDカードで作業員の現場での就業履歴を蓄積するだけでなく、IDに蓄積された技能と経験による能力評価をし、能力に応じた賃金設定にも生かせます。また、就業情報を建設業退職金共済制度とリンクさせれば退職金ポイントの積立にも役立ちます。  建設現場はこれまでは3K(きつい、汚い、危険)職場でした。これを変えようと、新4K(給与が高い、休暇がとれる、希望が持てる、かっこいい)を目指しています。ただし、入職者を増やすことだけでは技能労働者不足に対応できないため、ロボットなど技術開発を進めることによって、省人化も目指しているのです。
    ――初任給の5000円増額を決めましたが、その理由は何ですか。
     建設業界に優秀な人材を確保するためです。併せて、賃上げも実施しています。従業員の処遇改善を通じて、未来を切り開く「成長と分配の好循環」の実現に寄与することが、社会的使命だと考えています。
    ――「子どもたちに誇れる仕事を。」をキャッチコピーにしています。この意味は何でしょうか。
     例えば、「お父さんが造ったビルを見に行こう」と子どもにいえる仕事をしようということです。自分の仕事のプロセスやアウトプットの一つ一つに自信がなければ、子どもにはそうは言えません。  将来、子どもたちが大人になった時にでも、社会インフラとして十分に機能する立派な施設を造っているんだよ、との思いが伝わるようなコピーを目指しました。

    富士通からDX人材をスカウト
    ――経産省と東京証券取引所が選んだ「2021年DX銘柄」に選ばれた理由は何でしょうか。
     地道な取り組みが評価された結果ではないかと思います。「デジタルゼネコン」という考え方を打ち出したのが20年の秋でした。それまでもIT化を推進してきましたが、ニューノーマルな働き方に対応するためにも、DXが必要になってきたわけです。  そこで先に話したデジタルゼネコンの3つのコンセプトをベースに、いろいろなデジタル化技術を社内に展開してきました。
    ――DXを推進するため外部から人材を起用しましたね。
     リーダーは情報統括担当の副社長で、生え抜きのデジタル戦略推進室長が中心になってDXを推進してきました。ただ、DXの大きな将来像を描いてもらうために、外部の力も利用しようと、富士通さんから部長クラスの人材をスカウトしてきました。  人材の多様化はDXの一つのキーワードです。建設業の器に捉われない成果を出したいので、これからはどんどん社外から人材を登用していきたいと思います。ただし、社外から来た人に頼るだけでなく、社内でしっかり議論して当社の方向性を出す必要があり、内部と外部の考え方を融合することが重要です。  いまは良い方向に向かっていると思います。
    ――ゼネコン業界は全体的に利益率が低いようですが、どこに原因があると思いますか。
     建設業界の「請負」というビジネスモデルは本来、ローリスク、ローリターンなのですが、昨今では大きなリスクを背負うようになっています。私が知っている限り、仕事が潤沢にあり利益率が高かったのは、1990年ころのバブル景気の時と、4~5年前のオリンピックに向けた好景気の2回だけです。いつの時代でも利益率の向上は重要な経営課題になっています。  単に利益率を期待できないからといって厳しい仕事から逃げてしまうと、仕事が全く取れなくなってしまいます。だからこそ、常日頃から生産性の向上に取り組み、利益を確保していくことが重要なのです。
    ――利益率を高めるために、どんな対策が必要だと思いますか。
     社内的には、少しでも良い仕事を取るために、顧客のニーズに応えられるように提案力を磨けといっています。営業の人脈やネットワークを広げて顧客との結び付きを強めることはもちろんですが、顧客の期待を超える価値の提案を目指さなければなりません。  そして、建設業は装置を持たない人材産業なので、地道に人材を育てることも大切です。  先ほども触れましたが、ロシアのウクライナ侵攻を契機に異常なほど物価が上がってきています。契約してから工事が始まるまでの間にも資材価格が上がるので、利益率を低下させる大きな要因にもなりかねません。  日建連では、物価上昇分を発注者にも負担してもらえるようにならないか、契約約款について議論しています。物価上昇は一種の不可抗力です。われわれも物価上昇幅に照らして請負金額を増額する「スライド条項」を、民間の発注者にも認めていただけるように努めなければなりません。  もちろん、物価上昇分を転嫁するばかりではなく、例えば仮にある資材が5億円値上がりした時は、3億円は施主側に負担いただき、残りの2億円分は施工の工夫により吸収するとか知恵も出さなければならないと思います。これも提案力であり、一つの解決手法です。  急激に利益率を改善するのは各社ともに難しいと思いますが、大きな変化に対応するためには、量(売上高)ではなくて率(利益率)に軸足を移す必要があります。

  • 超大型洋上風力発電施設の効率的な建設に資するための、世界最大級の自航式SEP船が活躍する日が目の前ですね。日本国自前のクリーンエネルギー開発に大いなる貢献を期待します。

    【室蘭市と清水建設が協定 SEP船による室蘭港の母港利用】 
    (物流Weekly 8月19日配信記事より)

    北海道室蘭市(青山剛市長)と清水建設(井上和幸社長、東京都中央区)は7月13日、清水建設が洋上風力発電施設建設用に建造する自航式SEP船の母港を室蘭港とすることに向けて協定書を締結した。
    室蘭港は、北海道及び東北地方の日本海・太平洋側両地域へのアクセスが容易であることや、港内は十分な水深と静穏な波浪環境などの優れた特性を備えていることから、清水建設が洋上風力発電施設建設用に建造を進めている世界最大級の自航式SEP船が、同港を母港として利用することになった。
    同協定では、「2023年4月1日から室蘭港を母港とする」「清水建設は、部材・資機材調達を通じ、長期的に地域経済への貢献に努める」「期間は5年間とする。ただし、両者の合意により延長可能」といった点を取り決めている。


    【参考】 (2019年7月24日 清水建設ニュースリリース資料より)

    世界最大級・高効率の自航式SEP船を建造 ~洋上風力建設の受注トップシェア獲得へ~

    清水建設(株)<社長 井上和幸>は、5兆円超の市場規模となる洋上風力発電施設建設工事の受注に向け、約500億円を投じ、超大型洋上風車の建設に対応できる世界最大級の搭載能力及びクレーン能力を備えた高効率の自航式SEP船(Self-Elevating Platform:自己昇降式作業船)の建造に来月にも着手します。完成は2022年10月の予定です。これにより、再生可能エネルギー分野での競争力を確保し、エンジニアリング事業のさらなる拡大を目指します。
    我が国では、本年4月に洋上風力新法が施行され、洋上風力発電市場の急速な拡大が見込まれるなか、すでに欧州では大型とされる6~8MW(メガワット)級の洋上風車による発電施設が商用化されています。また、欧州の発電事業者及び風車メーカーは、将来、固定価格買取制度(FIT)に頼らなくても事業採算を確保できるように、9~12MW級の超大型風車の計画を進めています。我が国でも、今後の発電単価の削減と限られた建設海域での事業規模・採算を勘案すると、欧州同様に8MW級以上の風車が必須となってきます。
    一方、現在、日本には8MW級以上の風車建設に対応できるSEP船がありません。欧州から大型SEP船を傭船すれば対応可能ですが、現地での需要が高くその確保は容易ではありません。そこで当社は、日本国内で計画されている洋上風力発電施設のEPC受注を目指し、世界最大級の搭載能力及びクレーン能力を持つSEP船の建造を決定しました。
    建造するSEP船は、全幅50m、全長142m、総トン数28,000t、クレーンの最大揚重能力は2,500t、最高揚重高さは158mで、世界有数の作業性能を備えています。水深10~65mの海域での作業に対応でき、作業時には4本の脚を海底に着床させ、船体をジャッキアップさせることで海面から切り離し、波浪に左右されない作業条件を確保することができます。
    SEP船による洋上風車の施工手順は、はじめに風車の基礎を先行施工します。続いて、風車のタワー、ナセル(駆動部)、ブレード(羽)をSEP船に搭載・運搬し、基礎上に据え付けます。建造するSEP船は、8MW風車なら7基、12MWなら3基分の全部材を一度に搭載でき、予備日をみても8MW風車の場合は7基を10日、12MWの場合は3基を5日で据え付け可能です。また、太平洋側の特徴である10秒程度の長周期波浪(うねり)においても船体のジャッキアップ・ダウンが可能であり、既存のSEP船に比べ5割程度高い稼働率を発揮できるように設計しています。
    なお、SEP船の建造計画にあたっては、2018年10月から欧州の設計会社(GustoMSC)の協力を得て仕様検討・設計を行ない、建造はジャパンマリンユナイテッド(株)に発注しました。また、運航管理については、多数の作業船を保有している深田サルベージ建設(株)等の協力を得て体制を構築します。
    今回のSEP船の建造は、中期経営計画<2019~2023年>の投資計画のうち、インフラ・再生可能エネルギー・新規事業投資の核となるものです。当社は今後、国内外の発電事業者に当社のSEP船の優れた作業性能を提案し、洋上風力発電施設のEPC受注に結びつけていく考えです。

  • 完成した暁には日本国内最高の高さとなる東京トーチタワー(2027年度竣工予定)の屋上庭園からの展望が楽しみですね。

    【東京都内大規模開発プロジェクト/リスク環境下も勢い衰えず  総延べ10万㎡超の施工者決定相次ぐ/土木も注目事業が公告】  (8月17日建設通信新聞配信記事より)

     コロナ禍の長期化や資材価格高騰などのリスク要因がある中でも、東京都内の大規模開発の勢いは衰えていない。総延べ10万㎡を超える建築プロジェクトの施工者が相次いで決まっており、このほかの大規模開発も複数計画されている。土木のビッグプロジェクトも入札が立て続けに公告されており、都内の建築・土木需要の堅調さを示している。 都内では、三井不動産など10社が国内最大級となる総延べ110万㎡を建設する「(仮称)内幸町一丁目街区開発計画」のほか、野村不動産とJR東日本による東京湾岸エリア最大規模の総延べ約55万㎡の再開発「芝浦プロジェクト(芝浦一丁目計画)」など“超ビッグプロジェクト”の計画が着々と進んでいる。芝浦プロジェクトは先行するS棟を清水建設の施工で既に着工しているほか、内幸町一丁目では中地区の既存建物の解体工事を竹中工務店と鹿島の施工で着手する。
     2027年度の竣工時に国内最高高さの390mとなる東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」のB棟「Torch Tower(トーチタワー)」は、ビル単体で延べ54万4000平方mに達する予定で、施工の優先交渉権者として清水建設と協議中だ。23年度に着工する予定。
     新宿駅西口の開発初弾で、小田急電鉄と東京メトロ、東急不動産が計画する小田急百貨店新宿店本館跡地のプロジェクトでは、大成建設が施工に参画し10月に着工する見込みだ。
     このほか、JR東日本が計画する延べ約25万㎡の「大井町駅周辺広町地区開発A1地区」(22年12月着工)や、東急とLCRE、東急百貨店が東急百貨店本店施設を建て替えて隣接するBunkamuraの改修とあわせて総延べ約12万㎡とする「Shibuya Upper West Project」(23年1月着工)をはじめ、総延べ10万㎡超の複数の開発計画が目白押しだ。
     土木では、東京国際(羽田)空港のアクセス鉄道と首都高速道路の高速都心環状線(日本橋区間)の地下化が注目されている。羽田アクセス鉄道では、鉄道連絡部仮切り回し通路築造工事が西松建設、開削部躯体築造工事技術協力業務が清水建設に決まっている。シールドトンネル築造工事技術協力業務の公募型プロポーザルの手続きも始まっている。
     首都高日本橋地区の地下化では、初弾の常盤橋地区トンネル工事が入札手続中で、シールドトンネルの入札も公告した。このほか、京成本線荒川橋梁・綾瀬川橋梁架替工事の4工区の施工者も決まった。
     大規模プロジェクトが建築・土木ともに進むことで、ゼネコンの手持ち工事の潤沢さは数年続くものとみられる。

  • 2025年に完成した暁には、遠足で訪れる子供達でにぎわいそうですね。はとバス観光で巡る新名所のひとつになるかもしれません。

    【清水建設、東京木工場の全面建替えに着手 工場棟と来客棟の2棟に集約 2025年秋完成予定】        (5月20日AMP News 配信記事より)

    清水建設は、創業時より連綿と受け継いできた木の文化、技術、魅力の発信拠点の整備に向け、東京木工場の既存施設群全11棟を順に解体し、工場棟と来客棟の2棟に集約する全面建替えプロジェクトに着手したことを発表した。
    新築する施設のコンセプトは、木工事の技術と木の文化の伝承という東京木工場の重要な役割を踏まえ、「木の文化・技術・魅力の発信拠点」としているという。
    3階建て、延床3,555m2の工場棟は、1階を多軸ロボットやNC加工機などの最新工作機械により新たな木造(木質)建築に対応する技術開発ゾーン、2階と3階を伝統の木工技術による加工を行い、文化・技術の継承を図る伝統技術ゾーンにするとしている。
    いずれのゾーンにも見学エリアを設け、来場者が木の伝統技術と最新技術を間近で見学できるようにするとのことだ。
    来客棟は2階建て、延床1,291m2で、1階中央部を資料館とし、東京木工場が過去に製作した有名建築の内装の現寸展示や伝統工具、図面類を展示。1階北側に常設の木育室を設け、見学希望者や地域住民などを対象に木工教室を開催。2階には事務室と会議室を配置するという。
    木工場に相応しく、工場棟・来客棟ともに木鋼ハイブリッド構造を採用するとともに、敷地内に木育の一環として設ける緑豊かな「森」が来場者を迎え入れるとしている。

  • 都市域のビル建築における国産木材の積極的な活用は、建築物の新たな魅力を生み出して付加価値を高めるとともに、国産木材の需給改善による地域振興にもつながる一石二鳥効果が期待できると思われます。「耐火性木材」の活用が鍵になるようです。

    【清水建設、半木造の中層ビル 背中で支える混成構造】
                      (日本経済新聞 7月20日配信記事より)
    清水建設が「木造」ビル建設に力を入れている。宇都宮市内で工事が進む「東邦銀行第一生命共同ビル(仮称)」は通りに面する南側が木造で、北側から抱き込む鉄筋コンクリート造が地震時に建物を支える変わった構造をもつ。国産木材の普及には民間ビルの木質化が欠かせず、設計を手掛けた清水建設は「都市の木造を実現する」と意気込む。
    7月中旬、建設現場の覆いが外され、宇都宮市中心部の大通り沿いに木目豊かな中層ビルが姿を現した。事務所には珍しく各階に外へ出られるバルコニーがあり、近年のオフィス建築には珍しい。南側は一面ガラス戸なので室内は自然光で明るく、通りを見渡すこともできる。清水建設と渡辺建設(宇都宮市)との共同企業体(JV)が施工しており、9月末竣工予定だ。
    このビルの最大の特徴は建物の半分が木造であること。木造建築は鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べ地震の揺れに耐えにくく、高さのあるビルの建設はハードルが高い。これまでも木材を多用する中層以上の「木質」ビルはあるが、柱・梁(はり)の構造部分を鉄骨などで支えることで耐震性を確保する例が多かった。
    今回の東邦銀第一生命ビルでは南北の奥行き24メートルのうち南側10メートルが木造、北側14メートルが鉄筋コンクリートだ。「建物自身の重さは木造部分で支えるが、(地震が起きた時に建物にかかる力の一つである)地震力については鉄筋コンクリート部分が支えることで耐震性を確保している」(清水建設)。
    技術的には純木造で4階建てのビルを建てることは可能だが、建物を支えるために柱と柱の間隔を狭くしたり、柱を太くしたりする必要がある。広い空間を確保しにくくオフィスとしての使い勝手が悪くなるほか、建設コストも増えるという課題があった。
    一方、東邦銀第一生命ビルの木造部分は南北に10メートルの梁がわたり、室内には視界を遮る柱がない。「梁を太くすればさらに長くわたすことも可能」(清水建設木質建築推進部の堀部孝一部長)で、木造ながら従来型のビルと差がない広い空間を実現した。
    柱・梁は清水建設が開発した耐火性木材を活用。芯材には東邦銀行が本店を置く福島産のカラマツ、化粧材には栃木産のスギを使い、間にはさんだ耐火シートと強化石こうボードの層が延焼を抑える。耐火時間は1時間で、耐震性も合わせて半木造建築ながら鉄筋コンクリート造と耐用年数は同等だという。
    林野庁によると2017年3月末時点の日本の人工林のうち一般的な利用期とされる樹齢50年を超えるものはおよそ5割。木材の潜在供給量は多く、木造ビルを普及させる素地は整いつつある。
    堀部氏は「建設技術はそこまで高度ではなく、重要なのは設計だ」とみる。県産木材の普及を推進している栃木県も24年開業予定の林業大学校の校舎を木造の建築技法を設計関係者に披露する場にする計画で、「さまざまな工法を知ってほしい」(県担当者)という。
    木造ビルのもう一つのハードルはコストだ。調達時の鉄や木材の価格によるが、一般的に柱や梁の軀体(くたい)工事費だけで2~3割コストアップになると言われる。ただ、今回のビルでは270立方メートルの木材を使い、林野庁のガイドラインに基づき算出した炭素貯蔵量は177トン。脱炭素機運が追い風となり、さらに「木造ビル」は増えていきそうだ。(桜井豪)

  • AI技術も、すそ野の広い建設産業分野での利活用が進んでこそですね。

    【AIが木造文化財を火災から守る、炎や煙を解析し消火・不審者も通報…清水建設の「慈雨」】             (8月12日読売新聞配信記事より)

     清水建設は、人工知能(AI)を使って木造文化財を火災から守るシステムを開発した。カメラの映像をAIが解析し、いち早く出火を見つける。まずは、東京都内へ移設中の旧渋沢栄一邸に設置し、来年度から伝統建築物を中心にサービスの提供を始める。
     システム「慈雨」は、監視カメラとAI、消火装置が連携して消火する仕組みだ。カメラがとらえた炎や煙を解析し、自動で散水する。カメラは、離れた場所にある小さな炎も検知できる。不審者を見つけた場合は警備会社などに通報し、放火も未然に防ぐ。
     一般的なシステムは、炎が大きくならないと、センサーが働かず、消火が手遅れになる恐れがあった。消火時は、敷地内にあるすべての設備を稼働させる。このため、大量の水を使って鎮火前に水が不足したり、水圧で建物が損壊したりするリスクもあった。
     国内外では、パリ・ノートルダム大聖堂や正殿を焼失した那覇市の首里城など、木材を使った重要建築物の火災が相次いでいる。清水建設の担当者は「最先端の技術を使って、日本の文化財保護に役立ちたい」と話している。

  • 多くの資材を使用する建設産業分野におけるCO2排出量削減の取り組みは、わが国の脱炭素推進やSDGs目標達成に大きく貢献することが期待されます。

    【清水建設、バイオ炭を用いてコンクリート構造物に炭素を貯留する環境配慮型コンクリートを開発 〜低炭素セメントと併用し、カーボンネガティブを実現〜】
                      (日本経済新聞8月10日配信記事より)

    清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、木質バイオマスを炭化した「バイオ炭」をコンクリートに混入することで、コンクリート構造物に炭素を貯留する環境配慮型コンクリート(以下、バイオ炭コンクリート)を開発しました。本技術は、成長過程で大気中のCO2を吸収した木材の炭化物を利用し、コンクリート内部にCO2を固定するもので、製造時に多量のCO2を排出するセメントの一部を高炉スラグで代替した低炭素セメントを併用することで、CO2の固定量が排出量を上回るカーボンネガティブを実現できます。バイオ炭コンクリートは、普通コンクリートと同等の流動性も備え、施工現場で打設できるため、幅広いコンクリート構造物への適用が見込めます。
    バイオ炭は、バイオマス原料を不完全燃焼させて炭化したもので、木材から生成したバイオ炭には、木が光合成で吸収したCO2が固定されています。農業分野では、「バイオ炭の農地施用」が国のJ-クレジット制度の対象として認められ、バイオ炭によるCO2貯留量が環境価値としてクレジット化されています。本技術では、粒状もしくは粉状にしたバイオ炭をコンクリートの混和材として利用することで、コンクリート生産に伴うCO2排出量の低減を図ります。
    混和材として利用するバイオ炭の材料には、針葉樹や広葉樹の製材時に廃棄されるオガ粉を利用します。オガ粉を炭化したオガ炭は、他のバイオ炭と比べて炭素を安定的かつ多量に固定できる特徴があり、炭素含有率は約9割、100年後の炭素残存率も約9割に上ります。混和材1kgあたりのCO2固定量は約2.7kgで、コンクリート1m3あたり60kgの混和材を添加することで、約160kgのCO2を固定できます。セメント材料に普通ポルトランドセメントを使用した場合のCO2排出削減率は67%、製造に伴うCO2排出を抑制できる低炭素セメントを使用すれば最大127%のCO2排出削減効果が得られ、カーボンネガティブを実現できます。
    バイオ炭コンクリートの強度については、一般的な土木配合(設計基準強度24N/mm2)において普通コンクリートと同等の性能を有することを硬化性状試験で確認しています。施工性についても、現場でのポンプ圧送に適応する流動性をフレッシュ性状試験で確認しており、コンクリート二次製品への適用のみならず、現場でのコンクリート施工にも広く対応できます。

  • 田町駅と羽田空港を結ぶ羽田空港アクセス鉄道新線の整備に向けた準備が着々と進められているようです。

    【羽田空港アクセス線新駅躯体/清水建設を特定/港湾空港工事初のECI/関東整備局】             (建設通信新聞8月5日配信記事より)

     関東地方整備局は、WTO対象となる「令和4年度東京国際空港空港アクセス鉄道開削部(P3駐車場前)躯体築造工事に係る技術協力業務」の公募型プロポーザルを実施した結果、清水建設を特定した。2日に990万円(税込み)で契約した。同局の港湾・空港工事初のECI(施工予定技術者事前協議)方式による案件で、羽田空港アクセス線羽田空港新駅(仮称)のホーム部躯体築造工事に向けた業務を委託する。 業務概要は計画準備、協議・報告、技術協力業務(技術提案の技術情報などの提出、その他の技術情報などの提出、設計調整協議、設計の確認、施工計画の作成、全体工事費の算出、関係機関との協議資料作成支援)、報告書作成。履行期間は2023年3月10日まで。
     発注者との間で締結する基本協定に基づき、価格などを交渉する。交渉が成立した場合、建設工事を契約する。
     同工事は、羽田空港第3駐車場(P3駐車場)前面部の空港内道路直下約24-25mに、幅21.7m、高さ20.6m、長さ約250mの躯体を開削工法で築造する。新駅ホームの一部となる。工事参考額は300億-330億円(税込み)程度。
     工事概要は地盤改良工、土工、撤去工、仮設工、調査工。予定工期は28年3月まで。
     羽田空港アクセス線は、田町駅付近と羽田空港を結ぶ空港アクセス鉄道新線となる。東京貨物ターミナル付近から羽田空港の間はアクセス新線区間(約5.0㎞)で、このうち空港島内区間(2.4㎞)の駅やトンネルの躯体部分などの基盤施設は、同局が空港施設として整備する。羽田空港新駅は1面2線の島式ホームとなる。

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